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東京の放射線量「実はもっと高い」 文科省発表値は地上18mだった 

   大気中の放射線量について、民主党の小泉俊明衆院議員が、ガイガーカウンターによる測定で東京は文科省発表値の2倍もあったことを明らかにした。こうした違いが出たのは、文科省発表値の測定方法に欠陥があるからだというのだ。

「文科省発表値の地上18メートルですと、人がほとんどいませんので、地上1メートルの基準で測定しました」

地上1メートルでは2倍も高い

週刊誌でも特集
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   小泉俊明衆院議員の国会事務所秘書は、取材に対し、こう話した。

   文科省サイトでは、東京・新宿で測定された放射線量が毎日報告されている。しかし、それは東京都健康安全研究センター屋上に設置されたモニタリングポストの数字だ。こうした測定に疑問を持った小泉氏は、東京・永田町近くの交差点で2011年5月2日にガイガーカウンターを使ったところ、地上1メートルで毎時0.128マイクロシーベルトだった。

   文科省発表値では、この日の数値は毎時0.067~0.068マイクロシーベルト。つまり、小泉氏の測定結果は、その2倍ほどもあったことになる。東京・霞が関で測ってみても、0.11マイクロシーベルトと倍近くあった。こうした測定結果は、週刊現代サイトの24日付記事でも紹介されており、雨などで地上に落下した放射性物質の影響で高くなった可能性が出ている。

   小泉氏がその後、地元の茨城県南部の各市で同様に測ったところ、文科省発表値の3~5倍だった。発表値は、水戸市の地上3.45メートルで測っている。このほかにも、文科省発表値は、群馬県が地上20メートル、千葉県が7メートルと人の生活レベルより高いところのものになっている。

   なぜ発表値は、高いところで測ったものが多くなっているのか。

   文科省の防災環境対策室では、1950~60年代に大気核実験をきっかけにモニタリングを始めた経緯があると説明する。

放射線量は年間許容以下だが…

「大気中に落ちてきているちりを直接調べたかったので、障害がない開けたところがよかったわけです。人体への影響を調べるためのものではありませんでした」

   それが原発事故のモニタリングに転用されたのは、全国各地にあり、平常値と比べられるので参考になると考えたからだという。つまり、平常値の比較で、放射線量が多いか少ないかを判断するモノサシ、というわけだ。

   とすると、人体への影響を調べるには、不都合もあるのではないか。

   この点について、防災環境対策室の担当者は、「確かに、人が生活している高さの測定値とは違う可能性がありますので、多少の疑問があるかもしれません」と問題があることを認めた。

   なお、小泉俊明衆院議員の測定だと、東京・永田町近くの交差点では、年間1.12ミリシーベルトの放射線を浴びる計算になる。ただ、この数値には、自然放射線量が含まれているので、それを除いた年間許容量の1ミリシーベルトを超えているとは言えない。

   放射線医学総合研究所が1988年に行った調査では、東京での自然放射線量は年0.91ミリシーベルトだ。防災環境対策室によると、東京では、放射線を出す花崗岩などが地表に少ないといい、測定の高さによる影響は無視できるかもしれない。とすると、単純計算で、自然放射線を除いた東京の測定値は、年0.21ミリシーベルトと許容量以下となる。とはいえ、放射線量が多い地域では地表近くでの測定値も知らないと、安心できるとは言えないようだ。