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「東電ばかり批判しないで」「いいわけ」 小学生同士が新聞で投書バトル

   福島原発の事故を受け、父親が東電社員という小学校6年生から毎日小学生新聞編集部に、「原発を作ったのは東電だが、そのきっかけとなったのは、世界中の人が無駄に電気を使ったからだ」とする内容の手紙が寄せられた。

   「自分と違う意見も聞きたい」とするこの投書が呼び水となり、毎日小学生新聞には各地の小学生から賛否の意見が相次いでいる。

「世界全体の責任であると主張したい」

   この手紙は2011年5月18日の同紙に掲載された。これを受け、自分の父親も東電社員という別の小学6年生は、「全面的に東電に責任をおしつけているのはすごくいやな感じです。責任をとらないといけないのは、国だと思います。国と日本人が便利を求めているから、原発が必要とされたのです」と賛同する。

   母親が経産省で勤務しているという東京都の6年生はこう書いている。

「国や東電の責任も大きいが、電気を日々の生活で大量に使っている国民全員、いや世界全体の責任であると主張したい」

   ある小学生は、父親が東電で働いているという理由で友人がいじめられていることを語り、過剰な東電批判に疑問を呈する。

「前は、明るくて文武両道で、みんなから好かれるすっごく良い子だったのに、今は不登校ぎみで、私を含む数人としか話しません。どうして、何も悪くない彼女がいじめられるのでしょう」

「いいわけにしか聞こえない」と反論も

   一方、手紙への反論も大人顔負けだ。

   京都府の6年生は、手紙の内容について、「いいわけにしか聞こえない」としたうえで、「安全だといい、人々をだまし、古くなった原子炉をうごかしつづけてきたことにより、事故が起こってしまった」と東電の問題を指摘する。

「手紙には、原子力にみんながたよっていたから事故が起こってしまったという感じで書いてあったけれど、それは東電の人たちが、福島の人たちに、道路をよくしたり、補助金を出したりして、たよらせるようにしむけたのだと、ぼくは思います」

   鎌倉市の5年生も、「原発事故は国全体の責任」という手紙への怒りをぶつける。

「学校の掲示板に、原発はクリーンなエネルギーで、安全で不可欠なものだというポスターがはってありました。(中略)それをしたのは、東京電力と国です。そんな教育をうけた私たちが、原発はあぶない!つくらないほうがいい!という意見をもつことができたでしょうか」

   毎日新聞社によると、これまでに小学生から約80通、大人からも約20通の投書が寄せられている。概要は6月23日の毎日新聞でも紹介された。こうした小学生たちの論争に感心する読者も多いが、文章があまりに大人びていることから、ネットでは「中には親が子どもに書かせているのもあるのでは」「きっと親が家でこういうふうに愚痴ってるんだろう」とする声も上がっている。