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たばこ・酒増税は「オヤジ狩り」 復興財源めぐり政府内バトル

   東日本大震災の復興財源をめぐって、政府内がゴタついている。菅直人首相の諮問機関「東日本大震災復興構想会議」の提言を受け、政府は所得税、消費税、法人税の「基幹税」を臨時に増税して復興財源をまかなうことを検討している。

   一方で、消費税増税は簡単には進まないとみたのか、復興財源としてたばこ税や酒税などの増税案が浮上。これに対して野田佳彦財務相は2011年7月16日、「(たばこ税や酒税の引き上げは)オヤジ狩りみたいなもの」と、否定的な姿勢を示した。

たばこ1本あたり、最大2.5円程度増税か

   復興財源として、たばこ税や酒税などの増税や、ケイバやパチンコ、宝くじなど射幸(ギャンブル)税の導入案が浮上している。

   与謝野馨・経済財政担当相は、所得税や消費税、法人税を臨時とはいえ、引き上げることに国民の反発はかなり強まるとみていて、たばこ税や酒税であれば、比較的反発を受けにくいと考えているようだ。

   政府内には、たばこ1本あたり最大2.5円程度増税し、増収分を復興財源に充てる案が出ているもよう。販売量が減らない前提で、1本2.5円(1箱50円)増税すると、最大で年2000億円規模の増収が見込める。

   野田財務相の16日の発言は、この動きをけん制したものだ。「(復興財源は)所得税、消費税、法人税の基幹税を中心に多角的に検討すべき」との考えを示し、「たばこも酒も税制を通じた『オヤジ狩り』みたいなところがある」と発言。たばこ税などによる増税に慎重な姿勢を示した。

   たばこ税は2010年10月に、1本あたり3.5円を増税。たばこメーカーによる本体価格の引き上げとともに、1箱あたり平均100円超も値上げされたばかり。「取りやすいところから取ろう」という政府のやり方も、立て続けとなると理解は得にくいかもしれない。

消費税は「社会保障の安定財源」復興財源には使えない?

   復興財源について、政府は2011年7月15日に「復興に関する財政フレームワーク検討関係閣僚会合」を開いたが、財源には踏み込まなかった。

   方針が決まっているのは、「所得税、消費税、法人税の基幹税を臨時に増税して復興財源をまかなう」ことだけだ。

   しかし、基幹税のうち、消費税を充てることについて、平野達男・復興担当相は「消費税はあくまでも社会保障(に充てる)と決まった。さらに消費税ということはなかなか考えにくい」と語っている。

   所得税や法人税の増税が望ましいとの考えを示唆したものだが、平野復興相のように消費税を充てることに慎重な声は政府・与党内に少なくない。

   野田財務相も、「(消費税は)排除されないが、社会保障の安定財源に位置付けている。そこをよく踏まえた対応が必要だ」と、消費税の増税にも慎重さをにじませている。