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住宅ローン、1%割れも登場 ネット銀行が空前の低金利

   住宅ローンの低金利競争が激しくなる中で、インターネット専業銀行が存在感を見せつけている。住信SBIネット銀行は変動金利型で年0.875%、ソニー銀行は2年固定型で年0.999%と、1%を割る「超」低金利を売りものに貸出残高を伸ばしている。

   メガバンクも三井住友銀行が変動金利型で年1.075%、三菱東京UFJ銀行とみずほ銀行が年1.275%と「過去最低」の水準ではあるが、ネット銀行はそれよりさらに低い。

1%をめぐる「攻防」

ネット銀行の変動金利型住宅ローンの金利は年1%を割った(写真はイメージ)
ネット銀行の変動金利型住宅ローンの金利は年1%を割った(写真はイメージ)

   ネット銀行の強みは、店舗や人件費などの運営コストが既存の銀行よりもかからないこと。その分、金利を低く抑えられる。

   ある銀行関係者は、「低金利競争になるほど、金利感応度の高い顧客はコンマ数パーセントの金利で反応します。1%を割ると、さすがに顧客へのインパクトが違う。(運営コストが高い)メガバンクは金利の引き下げ余地が薄いのでかなり厳しい状況でしょう」とみている。

   住信SBIネット銀行の住宅ローン残高は6月末時点で7443億円。3月末から約1割を伸ばした。利用者の約8割が変動金利型を選択している。

   同行は、「低金利もあるが、ネットの利便性を評価してもらっている」と胸を張る。正式申し込みから審査結果を回答するまで約2週間。借り換えの利用が半数程度あり、「返済能力を重視する」点や保証料が不要な点、8大疾病保障などの充実や繰り上げ返済が1円から可能でその手数料がかからないことも、利用者を増やしている要因とみている。

   ソニー銀行は、変動金利型が年1.192%とメガバンクより高めだが、2年固定型を年0.999%に設定している。

   住宅ローン利用者の約半数が変動金利型を選んでいるが、「1%を切っていることもあって、最近は2年固定型が増えています」と話す。10年固定など期間のあるタイプを利用する人も多く、6月末時点の住宅ローン残高は前年同月比2割増と伸ばした。

   同行は東京駅前に「住宅ローンプラザ」を設置。相談や申し込みを有人対応していて、1か月に約300人が来店する。「事前にネットで他行と比較して、最後対面で決めるようです」と、来店者の契約率は高い。

10年固定型でもメガバンクの半分以下

   長期金利の低下を反映して、長期・固定金利型も金利低下が続いている。民間金融機関と住宅金融支援機構との提携による固定金利型住宅ローン「フラット35」の8月の金利は、主力の21年以上の最低金利が年2.35%と、7月よりも0.04%低下。20年以下も0.03%低下して年2.03%となった。20年以下の金利は4か月連続の低下だ。

   メガバンクも8月から10年固定金利型の金利を0.05%引き下げ、三菱東京UFJ銀行と三井住友銀行が年3.80%、みずほ銀行は年3.70%を適用している。

   しかし、10年固定金利型でも住信SBIネット銀行は年1.57%、ソニー銀行は年1.777%と、単純に店頭表示金利の比較では、メガバンクのじつに半分以下と「破格」だ。