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被災地で診療したニセ医者逮捕 動機は本当にボランティア?

   被災地で医師を騙り、医療行為まで行っていたニセ医者が2011年8月19日逮捕された。動機は「ボランティア」だったというが、助成金に執着していたという話も出ている。過去には結婚詐欺を働いた、という報道もあり、何が目的だったのか、真相は謎だ。

   逮捕された米田吉誉容疑者(42)は4月中旬から石巻市で医師として活動。「米田きよし」という名前でキャンピングカーを駆って現地に乗り込み、その近くで診察行為をしていた。

「認定証」は業者が2万円で作成?

   8月10日付けの朝日新聞「ひと」欄にも取り上げられ、元々カナダの大学病院所属の小児救命救急医だという経歴が紹介された。しかし、「医師ではない」という情報が寄せられ、12日付けの紙面で「経歴に虚偽の疑いがある」としてお詫び文を掲載した。

   そして、19日に医師法(名称の使用制限)違反容疑で逮捕された。6月下旬、医師でないのに石巻市で団体職員に「医師国家資格認定証」と記載されたカードのコピーを渡し、医師を騙ったとされている。

   逮捕直前にマスコミの取材に応じていて、それらをまとめると、海外での医師免許は持っているが日本のは持っていない。「認定証」はネットで業者に2万円で作ってもらった。日本財団からもらった助成金100万円は炊き出しなどに使い、ほとんど残っていないという。

「海外団体との交渉が成功すれば1億円単位で助成金」

   いったい何が目的で医者を騙っていたのか。17日放送の情報番組「スッキリ!!」(日本テレビ系)の電話取材では「金が目的ならキャンピングカーを自己資産から出したりしない。目的はボランティアだ」と話していた。

   ただ一方で、米田容疑者から医療行為を受けた男性は同番組の取材に、米田容疑者が「ホームページに活動実績を載せれば、日本財団に助成金の申請ができる。海外の団体とどうしても交渉したい。成功すれば1億円単位で助成金がおりてくる」などと話していたと証言していた。もっとも、これもどこまで本当か、さだかではないようだ。

   米田容疑者を巡ってはさらに、過去に結婚詐欺を行っていたという報道もある。6月下旬、「結婚詐欺事件を起こした男ではないか」という通報があり、石巻市社会福祉協議会が医師免許の提示を求めていた。「フライデー」(9月2日号)の記事に登場した容疑者をよく知る人物も06年に、結婚詐欺で滋賀県警に逮捕され、実刑判決を受けていたと証言しているという。「週刊新潮」(8月25日号)では、取材を受けた本人が「結婚詐欺で5000万円稼いだ」と話している。逮捕時に報道された「モリオカ」という姓は旧姓だという。

   米田容疑者は調べに対し容疑を否認したというが、逮捕直前にはマスコミに「結果的に石巻の人を裏切ってしまった」とも話していた。