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人工衛星日本も落下エリア内 人に当たる確率「3200分の1」に不安

   人工衛星の大半は落下する際燃え尽きるが、一部の破片について、米航空宇宙局(NASA)は「地球上の誰かに当たる確率は3200分の1」と発表した。インターネット上では「大丈夫か」「結構、確率高くないか」と不安の声も出ている。

   NASAは2011年9月9日、すでに運用を終えている大気観測衛星「UARS」の地球への落下を公表した。9月下旬から10月上旬あたりに大気圏へ突入する見込みだが、大半は燃え尽きるため、「人や財産」への危険性は「極めて小さい」としている。

宝くじで1等2億円が当たる確率「1000万分の1」

人工衛星の破片はどこへ落ちるのか。
人工衛星の破片はどこへ落ちるのか。

   一方で、最大で26個の金属部品(重量計530キロ)が燃え尽きずに地球上に落ちる可能性がある、ともしている。落下が予想されるエリアは北緯57度から南緯57度の間で、日本はすっぽり入ってしまう。

   NASAでこの問題を担当するチーフ・サイエンティストのニコラス・ジョンソン氏は、「あなたに破片が当たる確率」は「21兆分の1」だと説明。一方、「地球上のどこかで誰かが当たる確率」は「3200分の1」(約0.031%)だと指摘した。世界人口は2011年内にも70億人に達するとみられている。

   このニュースが報じられると、ネット上では「3200分の1」の確率について、「結構高いな」「おいおい、高いぞ」といった不安の声が相次いだ。「破片落下に気付いた後、素早くかわす練習を始めた」という報告まで登場した。

   中には、交通事故にあう確率などに比べれば心配するレベルではない、という指摘もあった。ちなみに、通常のジャンボ宝くじで1等2億円が当たる確率は「1000万分の1」だ。

   「3200分の1」の確率について、専門家はどう見るのか。宇宙ごみ問題に詳しい九州大工学部の花田俊也准教授(宇宙工学)にきいてみた。NASAがどういう計算をしたのか分からないので、「NASAの計算が正しいなら」という前提で答えた。

「とてつもなく危ない、ということではありません」

   人工衛星の落下により人への被害が出るリスクは、現在では「1万分の1」の基準以下に抑えることになっている。「それに比べれば、(3200分の1は)少し高いですね」。1991年に打ち上げられた古い人工衛星なので基準外、ということのようだ。

   とはいえ、交通事故にあう確率などに比べれば十分に低いため、「とてつもなく危ない、ということではありません」と指摘した。

   国土交通省が2002年に示した資料によると、「1年間で事故にあう確率」は0.9%で、一生(80年)の間に事故にあう確率は53%だ。衛星の破片にあたる心配をするよりも、交通事故や自然災害に対する注意をする方が現実的のようだ。

   地球に落下する人工衛星などの破片による影響が懸念されたことは過去にもあるが、けが人が出た事例は報告されていない。

   NASAは、「もしUARSの破片とみられるものを見つけたときは、触らないで」と呼びかけ、地方の警察などに連絡をとるよう求めている。