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「仁王立ち」全裸女性写真を掲載 「ストリートビュー」また問題撮影

   米グーグルが提供する地図サービス「ストリートビュー」に、全裸の女性が写り込んでいたことが分かった。発覚後に「ぼかし」を入れる措置がとられたが、しばらくの間はそのまま放置されていたとみられる。

   過去にもストリートビューでは、撮影された写真に問題があると指摘を受けたケースがある。今回も、全世界に裸をさらされた本人にとっては冗談ですまない事態となった。

玄関の外に出て顔を洗っていた?

写真中の女性は「ぼかし」が入れられた(ストリートビューより)
写真中の女性は「ぼかし」が入れられた(ストリートビューより)

   全裸女性の写真がストリートビューに使われているとのニュースは、米ウォールストリートジャーナル(WSJ)のブログやCBSニュースが2011年9月13日に伝えた。「犠牲」になったのは米フロリダ州マイアミに住む女性で、複数のブログが9月9日に問題の写真を掲載している。修正が入っているものの、開け放した玄関の外で、右手に大型のペットボトル状のものを持ち、左手で顔を拭うようなしぐさをしているその女性は、一糸まとわぬ姿で「仁王立ち」だ。家の外に出て水で顔を洗っていたときに運悪くストリートビューの撮影車が通りかかり、撮られてしまったのかもしれない。

   翌10日になってストリートビューでは、この女性の全身に強いぼかしを入れ、その人と判別できないような処置を施した。だが、最初に写真について報じたブログでは、この場所の住所を明記したため、周辺の住人にはこの女性が誰なのかがはっきり分かるようになってしまっていた。

   これまでもストリートビューは「お騒がせ写真」をいくつも掲載していた。WSJによると、2010年にはブラジルの路上に横たわる死体とみられる写真が使用され、別の場所では麻薬取引のようなシーンもあったという。プライバシーにかかわるような写真もたびたび報告された。今回の「全裸写真」も、故意に撮影したものではなさそうだが、グーグル側で事前に掲載を差し止めるようなチェック体制が機能しなかったのか、疑問が残る。

プライバシー面でたびたび問題視されてきた

   日本国内では2008年8月にサービスを開始したストリートビューだが、直後から撮影された人のプライバシー面でたびたび問題視されてきた。東京都町田市や杉並区をはじめ、グーグルに対する意見書の採択や申し入れを行う自治体が現れたこともあり、グーグル日本法人が09年2月に東京都情報公開・個人情報保護審議会に出席して説明、5月には撮影車のカメラの高さを下げたり再撮影を行ったりといった改善策を提示した。

   だがその後、別の形でプライバシー問題が起こる。2010年、各国でストリートビューの撮影車が、無線LANでやり取りされていた個人情報を誤って収集していたことが明らかになったのだ。グーグルは収集したデータを削除したと発表したが、利用者の不信を招いた。

   ストリートビューで不適切と思われる画像を見つけた場合、画面下の「問題の報告」をクリックすればグーグルに直接知らせることが可能な仕組みにはなっている。しかし今回の「全裸写真」のように本人が知らないうちに撮られたうえ掲載されていることも知らず、インターネットを通じて広く伝わってしまってはどうすることもできない。グーグルは撮影した人のプライバシーにいっそう注意を払う必要がありそうだ。