2024年 4月 19日 (金)

アルツハイマー特効薬 ウコン成分から作る試み

   アルツハイマー型認知症の最前線をテーマにしたシンポジウムが2011年10月1日、東京で開かれた。財団法人「東京顕微鏡院」の創立 120年を記念した催しで、最前線で活躍する専門家が講演、日本で開発が始まった新薬への夢も語られた。

   遠藤英俊・国立長寿医療センター内科総合診療部長は、認知症の地域支援制度を報告した。国立長寿医療センターが養成している「認知症サポート医」が1700人に達したこと、認知症サポート医が都道府県などと協力して実施している「かかりつけ医認知症対応力向上研修事業」の研修を2万6000 人が受講したこと、専門家が対応する「地域包括支援センター」が全国に4000か所設置されたこと、など。国や都道府県の「認知症対応力」は確実に高まっているようだ。

カレーを食べるとかかりにくい?

   世界最初のアルツハイマー薬ドネペジル(エーザイの「アリセプト」)で有名な杉本八郎・京都大学大学院客員教授(薬学)はまず、アリセプト開発の秘話を紹介した。 日本では現在、4つの薬が使われているが、いずれも対症療法で、できれば根本治療薬が望まれる。アルツハイマー型認知症は、脳にベータアミロイドと呼ばれる物質やタウたんぱくといわれる物質が蓄積することで、脳が萎縮して起こると信じられている。しかし、欧米で開発中だった抗アミロイド作用の主な4剤は、基礎実験では大いに期待されたのに臨床試験では効果が認められずに挫折。開発の中心はタウたんぱくの阻害物質に移っている。

   「再び夢を」と、杉本さんは根本治療薬の開発を目標とする、京都大学発バイオベンチャー企業「ファルマエイト」を創業。カレーを食べるインド人は米国人と比べてアルツハイマー型認知症にかかる率が4分の1と少ないことに目をつけた。ウコンの主成分クルクミンの誘導体1000種類を作り、タウたんぱく、アミロイドの両方を抑える最強物質を選び、日本発の特効薬にすべく取り組んでいる。

(医療ジャーナリスト・田辺功)

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