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冠スポンサーはメルセデス・ベンツ 東京コレクション「事業仕分け」で再出発

   日本のファッションを世界に向けて発信する「メルセデス・ベンツ ファッション・ウィーク 東京」(日本ファッション・ウィーク推進機構主催)が2011年10月16日から22日まで開かれ、メーン企画の「東京コレクション」など多彩な催しがあった。

   毎年春と秋の2回開かれているが、11年3月は東日本大震災で中止された。今回は初めて民間企業が冠スポンサーになったほか、震災に負けず力強く前を向いていこうという願いを込めたコレクションもあり、新たな出発を感じさせた。

官民一体という形式は崩れる

   2005年から「東京発 日本ファッション・ウィーク」の名称で開かれてきたが、今回は独自動車メーカーの日本法人「メルセデス・ベンツ日本」がスポンサーとなり、名称も変更した。ファッション・ウィークの取り組みは元々、日本のファッションを官民一体で海外に発信しようと始まった。しかし民主党政権下の「事業仕分け」で、国の財政支援が2010年度で打ち切られることが決まり、民間スポンサーに頼る新しい形となった。

   官民一体という形式は崩れたが、「消費者と直結したイベントにしよう」との機運は逆に高まったともいえる。コレクションそのものは元来、ビジネスの場であり、バイヤーをはじめファッションのプロを招いて開かれるものだ。しかし、今回は「東京コレクション」の中で、一般の人が参加できるショーが全44ブランドのうち13ブランドに上った。世界的に知名度が高い「ポール・スミス」のショーも一般公開され、会場は熱気に包まれた。メルセデス・ベンツ日本はスポンサーになることを決めた際、「ファッションは個性の表現であり、車も同じ。互いのイメージを高めていける」と強調しており、消費者にアピールしていこうという同社の姿勢が背景にあるともいえそうだ。

   一方、今回は震災の影響も少なからず見られた。「ポール・スミス」のショーでは、虹をイメージした七色のシャツを着たモデルが登場し、会場を沸かせた。英国人デザイナーのポール・スミス氏は(震災に負けない)前向きな気持ちを持って」との思いをイメージしたという。

   エヴァーラスティングスプラウトはニットで詩的な世界を描くことで知られるが、今回のコレクションは、これまでのものよりポップな雰囲気が強かった。デザイナーの村松啓市氏は「(震災が起き)大変な時代なので、みんながワクワクするようなファッションがやりたかった」という。

「ギンザファッションウィーク」も話題に

   また、今回は関連イベントも多彩だった。特に話題性が高かったのが東京・銀座の老舗百貨店、松屋銀座本店と三越銀座店が史上初めてのタッグを組み、銀座を舞台に展開した「ギンザファッションウィーク」。銀座の目抜き通りに面した両店のショーウインドー全体を若手デザイナーの作品に提供したり、期間中は両店共通の買い物袋を使ったりするなどして、銀座の街を盛り上げた。

   東京コレクションは、世界四大コレクション(パリ、ミラノ、ロンドン、ニューヨーク)に次ぐものと位置づけられるが、実際には「世界的に注目されるブランドが少ない」との声もあった。世界の関心を集めるコレクションとしての新たな一歩が築けたか。次回以降への期待も強まっている。