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大学入試に「ネット割引」広がる 「本来7万円が2万5000円」の例も

   少子化の影響で大学間の生き残り競争が激化する中、大学入試へのインターネット割引の導入がじわりと広がりを見せつつある。少しでも多くの受験生に入試を受けてもらおうと各大学が知恵を絞っている。

   名古屋外国語大学(愛知県)は、2012年1月6日からネット出願の受付を始める。ネット出願受付は数年前から始めていたが、今回は初めてネット割引(ネット出願パッケージ割引)を導入する。

名古屋学芸大学も12年実施試験から導入

大学入試のシーズンが近付いてきた。
大学入試のシーズンが近付いてきた。

   名古屋外国語大学の事務局によると、「センター試験の得点を活用する方式」などをまとめて出願すると、郵送出願なら計5万円かかるところが1万5000円安くなる。

   景気低迷が続く中、受験生側の負担軽減を図る狙いに加え、ネット受付による事務処理簡素化分の還元、という側面もあるという。特に数値目標は設定していないが、勿論、受験者数のアップも期待している。

   中京大学(同)は、2011年に実施した入試からネット割引を導入済みだ。中京大サイトによると、全出願者のうち、ネット割引利用者が約90%に上った。割引の方式はさまざまあり、「1回受験で5000円引き」や、3受験方式の合計で「本来なら7万円のところが2万5000円になる」などの割引例が示されている。

   ネット割引はほかに、帝京大学(本部・東京)が「2、3年前から実施(一部学部・学科は除く)」しており、名古屋学芸大学(愛知県)が12年実施試験から導入する。

   リクルート進学総研の小林浩所長によると、大学一般入試のネット出願受付は、ここ数年で「少なくとも十数校」で始まっている。そのうち、「ネット割引」を行っている大学の数ははっきりしないものの、まだそう多くはなさそうだ。

2学部以上受験で受験料が安くなる「まとめ割」

   ネット受付により事務作業の軽減化が進むのは間違いないが、どの程度ネット受付を選択する受験生が増えるのか、経費削減効果がどの程度で、受験生側に還元できるレベルにまでなるかどうか、の事情が大学によってばらつきがあるため、とみられる。ネット受付の経費削減効果や受験者数の動向への影響を見極めようとしている、というわけだ。

   「ネット割引」に限らず、大学入試の割引合戦はすでに始まっている。同じ大学の2学部以上を受験すると、2学部目以降の受験料が安くなる「まとめ割」などがあり、J-CASTニュースも「大学入試に『早トク』『まとめ割』 『割引プラン』で受験者数4割増」(2010年12月18日配信)の記事で紹介している。

   小林所長は、入試のネット受付について、「まだ本人確認問題などで『導入は検討中』の大学が少なくないが、中長期的には増えていく」とみている。

   ネット受付の導入校が増え、受験生の間にある程度浸透すれば、ネット割引の取り組みも広がっていきそうだ。