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銀座「フグ騒動」の主役は東国原英夫氏 「可食性フグ肝ある」と主張するが保健所は全面否定

   タレントで前宮崎県知事の東国原英夫さん(54)がブログで、毒のない可食性のフグ肝があると発言した。フグ食中毒になった美女と店で一緒だったと報じられたのを受けたものだが、そんなフグ肝があるのか。

   東京・銀座の高級フグ店「ふぐ福治」で食中毒が発生した問題は、思わぬ展開になった。夕刊紙や週刊誌が次々に、同伴していたのは東国原英夫さんだったと報じたのだ。

ジョギング中にナンパした美女を同伴

報道に具体的な反論はなし
報道に具体的な反論はなし

   それらの報道によると、東国原さんはジョギング中にナンパした都内在住の女性(35)を誘い、2人で2011年11月10日夜に「ふぐ福治」を訪れた。この店は、ミシュランガイドで3年連続2つ星を獲得したことで知られ、東国原さんは常連客の1人だった。

   店内で、東国原さんは「いつもの出してあげて」などと、すりつぶしたトラフグの肝臓をポン酢に溶かした「肝ポン酢」を裏メニューから注文した。「フグの毒で口をピリピリさせて酒を飲むのが通」などと言って味わったといい、女性にも勧める仕草を示したという。東国原さん本人はさほど異変はなかったというが、女性は店を出てから唇のしびれや頭痛などフグ毒特有の症状を示した。帰宅後に救急車で運ばれて入院し、翌11日になってようやく退院した。

   病院からの通報で都中央区保健所が動き、店を14日から1週間の営業停止処分にした。保健所では29日になって食品衛生法違反などの罪で警視庁築地署に店を刑事告発し、12月2日には店主のフグ調理師免許を取り消す事態にまでなっている。

   一方、東国原さんはブログで、夕刊紙や週刊誌からの質問への回答を明かして、事情を説明した。そこでは、店から「肝ポン酢」があると説明されて注文するようになり、「毒性のない可食性」と認識していたとした。「九州の宮崎・大分では毒性のないふぐ肝が提供されることが多々あります」という。そのうえで、「これほどの一流店が、可食部以外のものを、しかも徐毒もせず提供するとは思ってもいませんでした」と断罪している。

フグの種類に関係なく、全国どこでも違法

   さらに、東国原英夫さんは、「肝ポン酢」を注文したことをはっきり否定しなかったが、「何度も頼んできた」ことは否定した。店が普段は「肝ポン酢」を出してないということも疑問視し、これが事実なら「大変遺憾」だとしている。

   東国原さんが明かした可食性のフグ肝があるかについて、都中央区保健所の生活衛生課長は、明確に否定した。

「確かに、プランクトンやバクテリアなどの影響を排除して無毒のフグが作れるという説はあるようですが、フグの肝臓は、食品衛生法上、食べられないものに入っています。フグの種類に関係なく、全国どこであっても、フグ肝が食べられるということは、まったくありえません。フグ毒で呼吸困難になって死ぬこともあり、症状は摂取量や体格などにより違いますが、食べて大丈夫な人はいないと思います」

   東国原さんが知事をしていた宮崎県の衛生管理課でも、また大分県の食品安全衛生課でも同様の見方をした。可食性のフグ肝はないといい、店で出していたら違法だというのだ。

   宮崎県で獲れる毒性が低いシロサバフグについては、2007年12月13日放送の「いきなり!黄金伝説」でその肝臓料理が紹介され、厚労省がテレビ朝日を不適切だとして指導したことがある。東国原さんの知事在任中であったため、宮崎県の衛生管理課では、「ご本人はこのことを知っていると思います」と言っている。

   東国原さんは「ふぐ福治」側の説明でフグ肝を食べ始め、自ら強く要求したことはないとブログで明かしたが、「ふぐ福治」の店主は反論した。

「こちらから進んで出してはいません。要求がなければ絶対に出しませんよ。店のリスクを考えると、あり得ないことです。東国原さんが注文しており、女性にも勧めていたのではと思います。しかし、違反なのを知っていて出してしまったので、本当に申し訳ないというしかありません。可食性のフグ肝なんて、そんなのはないですよ」

   こうした見方について、東国原さんはどう考えるのか。事務所に取材すると、担当秘書は不在などとして、回答は得られなかった。