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再開したパチンコ店が大繁盛で、「いやな予感…」【岩手・大槌】

客でごった返すパチンコ店=大槌町小鎚で
客でごった返すパチンコ店=大槌町小鎚で

(ゆいっこ花巻;増子義久)

   26日の正午過ぎ、4日前にオ-プンした大型商業施設の向かいの建物に長蛇の列ができた。1時間後に迫ったパチンコ店の開店を待つ人並み。1時のゲ-ム開始と同時に店内は客で埋め尽くされ、景気の良い音楽に響き渡った。


   「まるで盆と正月が一緒に来たみたい。でもその先が怖い」―町の中心部が壊滅的な被害を受け、復興が遅れ気味だった大槌町で今月に入って仮設商店街や大型ショッピングセンターが相次いでオープンし、これを追いかけるようにパチンコ店も店開きした。釜石市などへ遠出していた買い物客も「これで一安心。でも、無計画な買い物をし、挙句の果てにパチンコでスッテンテンになってしまっては元も子もない。財布のひもを締めなくては…」と悲喜こもごも。


   今月17日、旧大槌北小学校の校庭にお目見えしたのは「大槌北小福幸(ふっこう)きらり商店街」。鮮魚店や飲食店、美容室、家電販売店など25業種39店舗が入居。閑古鳥が鳴く花巻市内のシャッタ-通りとは比べものにならないほどの賑わいぶり。


   さらに、22日にはこの近くに沿岸部最大級の商業施設「シーサイドタウンマスト」が営業を開始した。この施設も震災の被害を受け、一時は再建が危ぶまれていたが、再建を望む町民の声に後押しされた。核になる店舗はスーパーとホームセンターで、金融機関を含めた45店が軒を並べている。うち、23店舗は震 災前に町内で営業していた飲食店や書店などの小売店。屋上に備蓄倉庫を設けたほか、1階と2階には住民の交流スペースもある。


   「いやな予感がしてな。犯罪に結びつかなければ良いが…」。パチンコ店がオープンしたその日、ある被災者は顔を曇らせた。仕事にありつけない被災者の中には寒い冬を迎えて、アルコール依存症に陥るケースが増えている。「気晴らしに足を向けるのはパチンコ店。結局は身ぐるみ剥がされるのは目に見えている。やけっぱちになった、その後のことを考えるとゾッとする」。復興への道のりには決して平坦ではない。



ゆいっこ
ゆいっこネットワークは民間有志による復興支援団体です。被災地の方を受け入れる内陸部の後方支援グループとして、救援物資提供やボランティア団体のコーディネート、内陸避難者の方のフォロー、被災地でのボランティア活動、復興会議の支援など、行政を補完する役割を担っております。
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