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橋下徹大阪市長が廃止方針 「持ち家手当」とは何なのか

   大阪市の橋下徹市長が最大で月1万500円も支払われている市職員の「持ち家手当」を廃止する方針と報じられた。そもそも、なぜ持ち家に手当が付くのかと、ネット上で話題になっている。

   手当廃止方針を報じたのは、朝日新聞の2012年1月23日付記事だ。

ネット上では「妙な手当」と疑問続出

記事が話題に
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   大阪市では、持ち家の世帯主となっている職員に、月額で6500~1万500円の「持ち家手当」が支払われている。職員約3万8000人のうち約半数が受けており、もし手当が廃止されれば、年間総額で20億円ほどの削減効果になるというのだ。

   この報道が出ると、ネット上では、大阪市の制度に疑問が噴出した。

「なんだその妙な手当ては」「そもそも今まで何で出してたの?」「公務員てよくわからん手当てがいっぱいあるんだな」「通勤手当と時間外勤務手当以外は廃止汁!」…

   市の給与課によると、持ち家手当は、民間の住宅手当に当たる「住居手当」の一部となる。市人事委の調べでは、11年4月時点でも、市内の民間企業のうち52.9%が持ち家のある社員に手当を支給しており、給与課では、それに基づいて導入していると説明した。基本となる手当額は6500円で、同額支給のさいたま市など他都市の状況を見て決めたとした。

   市内在住者は、加算措置としてこれに2500円がプラスされる。それは、市内居住を推進する施策からだという。また、住宅ローン支払い中の場合も1500円が加算されており、その組み合わせで最大1万500円になる。ただ、ローン加算は、廃止が決まっており、12年3月までで終わる。

   持ち家手当について、給与課では、「廃止するかどうかをこれから検討していきます。組合との交渉も必要ですので、いつごろをめどに決めるかは申し上げられません」と話した。

国の手当は、畳の張り替えなど修繕費目的だった

   国家公務員については、総務省が2009年12月、人事院の勧告に基づいて「持ち家手当」を廃止している。

   手当の目的はもともと、畳の張り替えなど住宅を維持するための修繕費を補助することにあった。しかし、人事院が2003年に全国調査をしたところ、この目的を挙げる民間企業が19.4%と過半数にも達しておらず、存在意義が薄れたとの判断から廃止を勧告していた。

   この調査によると、家族の生活費を補助することを手当の理由に挙げた企業が最も多く、複数回答の60.5%を占めた。次いで、賃貸住宅手当との均衡を考慮するとしたのが33.4%だった。

   この時点では、民間企業のうち46.1%が持ち家手当を支給していると答えている。しかし、人事院の給与第3課では、公務員については、生活費補助としてはすでに扶養手当があり、持ち家は財産になるので賃貸との均衡は考慮する必要はないと指摘する。つまり、持ち家手当の存在意義は、公務員の場合は、修繕費補助ぐらいしか見当たらないということだ。

   朝日の記事によると、総務省では、各自治体に持ち家手当の見直しを求めており、多くの自治体が廃止に踏み切っている。まだ大阪市、さいたま市のほかに東京都や横浜、福岡、名古屋などの各市が支給しているというが、手当廃止は時代の必然的な流れのようだ。