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「小中学生でピアス」は是か非か 「なぜダメ」娘に言われて悩む親

   「ピアスの穴を開けたい」と小中学生の女の子に懇願されたという親が、インターネットの質問サイトで相談するケースが多いようだ。

   学校の校則で禁じているところもあれば、許容しているケースもあるようだ。娘を持つ親に聞くと、「非行につながる」と考える人、自分の娘だけがピアスをしないことで「浮いてしまうのでは」と懸念する人とさまざまだった。

小学校高学年でピアス「中学進学で外していた」

小学生でピアスは早すぎる?(写真はイメージ)
小学生でピアスは早すぎる?(写真はイメージ)

   質問サイト「OKWave」や「Yahoo!知恵袋」を見ると、「小中学生でピアス」に関する相談内容は定期的に投稿されている。「小学6年生の娘がピアスの穴を開けたいと言っている」という相談者は、見た目で判断される年頃にわざわざ悪ぶる必要はないと諭すものの、「周りはやっている。なぜ自分だけダメなのか」と反発されて困った様子だ。また、中学生が両耳にピアスをつけている姿を見て「あぜんとした」という意見や、「中学3年生でピアスは内申に響きますか」と、中学生本人からと思われる問いかけもあった。

   回答も、「おしゃれをしたい気持ちは分かるが、ピアスまではどうか」との反対意見もあれば、「本人の好きにさせればよい」と考える人もいる。

   この議論は、どうも今に始まったことではなさそうだ。ある20代女性は、「自分が小学校高学年だったころ、ピアスをしていた同級生が2、3人いました」と打ち明ける。学校側も寛容だったのか、特に問題視されてはいなかったそうだ。女性の記憶では「おしゃれに敏感な子たちだった」が、問題児だったわけではないという。ただ、中学に進学すると校則が厳しくなったためか、ピアスは耳から外していたとの話だ。

   小中学校では、ピアスを校則で禁じているところがある。私立中学の教師に聞くと「もちろん禁止です」と即答した。仮に違反した生徒が見つかったら、学校側で本人や親を呼んで面談を実施し、学校に在籍している間はピアスをしないよう厳重に戒め、指導すると説明した。

   ただネットの投稿の中には、「校則で禁止されていない」との主張もあった。学校によって、対応にばらつきがあるのかもしれない。

さらに「過激」な行動につながるのではと心配

   親たちはどう感じているのか。小学3年生に進級する娘をもつ40代の男性会社員は、「私も妻も心情としては、小学生のうちにピアスはやめてほしい」と苦笑い。子どもが「体の一部に穴をあける」という行為が、どうしても受け入れられないというのだ。ある程度成長してからであれば理解できるが、小学生の年齢でピアスを付けるということ自体に、単なるおしゃれとは違ったネガティブなイメージを抱いてしまうと打ち明ける。

   ただ「同級生の半数以上がピアスをしていれば、考えるかもしれません」とも言う。それほど広まっているということは、この男性自身のピアスに対する価値観が今の時代に合っていないと認めざるをえない、というのだ。娘にピアスをさせないことで友人たちから孤立し、仲間外れになるのではないかとの恐れも「正直、ないとはいえない」と吐露する。

   一方、会社経営者の40代の父親は、「無条件でダメと言うでしょう」。小学生では、何を目的にピアスをするのか判断できる年齢ではなく、素行の悪化の過程でピアスに興味を持っているのでは、との心配が拭えないためだと言う。娘が高校生ぐらいの年齢で、普段からまじめな生活態度であれば「ピアスをしたい」と相談されても理解を示せるが、心と体のバランスがまだ不安定な年頃では「ピアスにとどまらず、さらに過激な行動につながるかもしれない」と考えてしまうそうだ。

   心理面だけでなく、ピアスを開けることで化のうや金属アレルギーといった身体的なリスクも考慮しなければならない。専門のクリニックでは「医療行為であり、医師の指示にしたがってほしい」と呼びかける。都内の病院関係者に聞いたところ、子どもの場合はピアスの穴を開けた後、定期的に消毒し、汚れた手で触ってはいけないといった注意事項をきちんと理解していないため、化のうするケースが多いという。

   ネット質問サイトでは、自力で穴をあける器具を買って「友人同士で開けあう」との投稿もあった。この場合、万一穴を開けた相手の健康面に障害が出た場合、責任問題に発展する可能性もある。