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「日本海」単独表記を維持 ぎりぎり「東海」併記退ける

   国際水路機関(IHO)が2012年4月23日から27日までモナコで開いた総会で、日本海の名称が引き続き「日本海」として単独表記が維持されることになった。韓国政府は「東海」(トンヘ、East Sea)と併記するように求めていたが、今回は、それが退けられた形だ。

   ただし、加盟国が積極的に単独表記に賛成している訳ではない上、韓国側の併記に向けた動きは依然として活発で、予断を許さない状況だ。

最新の第3版は1953年発行

   総会で議題にのぼったのは、IHOが刊行する標準海図集「大洋と海の境界」。1953年に発行された第3版が最も新しく、第3版には「日本海」と単独表記されている。4版を作成するための協議が続けられているが、韓国が「第3版は、日本による植民地支配から朝鮮戦争直後までに作成されたため、『日本海』が単独表記されている」などとして「東海」の併記を求めているのだ。

   日本側は「『日本海』は韓国が日本の植民地になる19世紀から国際的に確立した呼称だ」などとして反論してきた。IHOの総会は5年に1度開かれるが、韓国は02年と07年にも、この併記問題を提起。決着がつかない状態が続いてきた。

   今回の総会では、日本代表団は「『日本海』を単独表記は維持したまま、他の改訂可能な部分は作業を進めていくべきだ」と提案したが、圧倒的多数で否決。だが、会議で何の決着も付かなかったため、結果として現行の3版の単独表記が維持された形だ。

韓国紙「3版の影響力が一段と弱まっている」

   日本の外務省は総会後に、

「日本海は国際的に確立した唯一の呼称であるとの確固たる原則の下で今後ともIHOの関連作業に建設的に関与していく考えです」

とのコメントを発表しているが、単独表記の維持は簡単なことではなさそうだ。

   韓国大手紙の朝鮮日報では、第3版について「影響力が一段と弱まっている」と論評した上で、韓国政府当局者の、

「53年版が最新版として残っているが、あまり時宜にかなっていないと考え、これを基準にしない地図メーカーも多い」

との強気なコメントを紹介している。

   それ以外にも、12年1月には、韓国系団体のロビー活動を受けた米バージニア州議会の議員が、州内の公立学校の教科書に「東海」を併記するように求める法案を委員会に提出。賛成7、反対8の、まさに「紙一重」で否決されるという出来事があったばかりだ。

   今後、韓国側はロビー活動を強化するのは確実で、5年後の17年に開かれるIHOの総会が、日本にとっての正念場になりそうだ。