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ラーメン二郎1杯推定1600kcal! 高齢者だと1日必要量に達する

   ボリューム満点で人気のラーメン二郎は、どのぐらいカロリーがあるのか。ある管理栄養士が、1杯1600キロカロリー(kcal)という数値をはじき出した。

   栄養学的には注意が必要だと考えざるを得ないが、大量のエネルギーを消費するスポーツ選手にとっては、食べ方によっては逆に高カロリーの面がメリットになるかもしれない。

ハンバーグにポテト、ライス大盛りで1150kcal

独特の味を求めて列をなす
独特の味を求めて列をなす

   ラーメン二郎を栄養学の面から調査したのは、管理栄養士で文教大学健康栄養学部の笠岡誠一准教授。麺も野菜もチャーシューも、背油たっぷりのスープも「規格外」とも思えるラーメン1杯のカロリーを独自に計算したのだ。

   笠岡准教授によると、ラーメン二郎はレシピを公開していないので原材料の種類や食材の正確な分量が分からない。そこで自身が来店して食べた際におおよその食材、量を推測し、また周囲の人の証言や文献情報など複数の情報をベースに、計算したと説明する。栄養士が、食事の写真を送付してもらって栄養指導を行うこともあるが、それに似たような形で「参考値となるような数値」を出したのだという。

   カロリー算出の基準としたのは、いわゆる「並盛」のラーメンで、そこに野菜や肉、脂、ニンニクを追加した。その結果が1600kcalだ。これがどれほどの値なのか。厚生労働省では「食事摂取基準」をもとに、1日に必要なエネルギー摂取量を出している。

   高齢者の場合、必要エネルギー量をこれだけで超えてしまう場合もある。成人30~49歳男性の場合、スポーツ選手のような激しい運動を日課にしていない一般的な社会人であれば、1日あたり2650kcalが標準だ。1食当たりだと単純計算で900kcal弱となる。あるファミリーレストランのメニューを参考にしてみると、例えばデミグラスソースをかけたハンバーグにポテトが数個、ライス大盛りで1150kcalだ。ラーメン二郎の1杯は、それをも上回る。「大盛」ともなれば、カロリーはさらに増すだろう。

   笠岡准教授が注目するのが、脂肪の割合の高さだ。「全エネルギーの60%が脂肪と思われます」。背脂たっぷりなのが特徴だが、脂には動物実験で嗜好性の高さが判明しており、いわゆる「病みつきになる」味だ。1食でこれほどのエネルギーを摂取する食品を「食べずにはいられない」状態となれば、カロリー面を考えると好ましくないと笠岡准教授は指摘する。

若者や運動部の学生、現役のスポーツ選手ならOK

   日ごろ運動不足な「お父さん世代」にとっては、高カロリーの食事をとり続けることは健康上よいとはいえない。しかし10~20代の若者や運動部の学生、現役のスポーツ選手となれば事情が違ってくる。

   食が細い悩みを抱えるアスリートにとっては、ラーメン二郎が「有効」に働くかもしれない。たんぱく質には1グラムあたりのエネルギー量が4kcalだが、脂肪なら同9kcalと2倍以上だ。あまり量を食べられない人にとっては「手っ取り早くエネルギーを補給できます」と笠岡准教授は話す。確かにご飯や肉を摂取した方が理想的であり、動物性脂肪ばかりでは栄養の観点からは好ましくない。だが例えば、激しいけいこで疲弊したうえ食事も満足にとれないような若手力士にとって、「食べるのも仕事」である以上何らかの方法でエネルギーを確保しなければならない。「お勧め」とは言えないが、まずカロリーを満たして体を維持し、その後で栄養の質を追求するというのも選択肢となりそうだ。

   一般的な暮らしをしている人で「どうしてもラーメン二郎を食べたい」と望むなら、栄養学的には朝食として摂取するのがよい、と笠岡准教授。1日の活動が始まる時点であれば、エネルギーを消費する機会は多い。一方で1日の摂取カロリーの観点から、1日2食にして1食をラーメン二郎に当てるという考えは「食事の回数を減らすと、体内に脂肪として蓄積しやすくなる」ため、健康寿命を考えるとやめた方がよさそうだ。

   30、40代と年齢を重ねていくにつれて「基礎代謝」が落ちていき、1日に使うエネルギーも減っていく。1日の活動量がよほど多くない限り、ラーメン二郎を毎日のように食べていてはカロリー過多になるのは目に見えている。食べるのは本人の自由だが、健康維持には注意が必要といえそうだ。