2024年 4月 23日 (火)

被災地の未来の姿… 「メルヘン街道」の創設を【岩手・花巻発】

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熱弁をふるう米地教授=結海で
熱弁をふるう米地教授=結海で

(ゆいっこ花巻;増子義久)

   「メルヘン街道の創設こそが被災地の未来の姿…」―東日本大震災から1年4か月目の11日、震災時の奇跡的な救出劇がきっかけでオープンした交流産直「結海(ゆうみ)」(花巻市西宮野目)で岩手県立大学名誉教授、米地文夫氏による記念講演会が開かれた。ゆいっこ花巻の企画で、タイトルは「大槌-花巻-五城目を結ぶメルヘン街道の創設に向けて」。花巻市内に避難している被災者や花巻市民らが壊滅的な被害を受けた被災地の未来に思いをはせた。


   米地教授がグリム兄弟にちなんだドイツのメルヘン街道にヒントを得て「イーハトヴ・メルヘン街道」を着想したのは震災直後。「岩手の地には宮沢賢治、佐々木喜善、井上ひさしという世界に冠たるメルヘン作家がいる。3人は終生『人間とはどうあるべきか』を追求した。3人の作品の中には復興の理念がびっしり詰まっている」と米地教授。佐々木は柳田國男に対して多くの民話を提供し、それが『遠野物語』として出版されたが、話者の佐々木こそが「日本のグリム」と呼ばれたその人だった。


   震災時に大槌町の観光ホテルに宿泊していた秋田県五城目町の老人クラブの一行42人が従業員の決死の救出作業で全員が無事、生還。これがきっかけで両町は固い絆で結ばれた。さらに、今年5月11日にはその中継点の花巻市に太平洋と日本海を結ぶ「結海」が誕生。毎月11日には両町の関係者が集い、震災の記憶の風化を防ぐためのイベントを続けている。米地教授の着想はこれを機にさらに広がった。


   「イーハトヴ・メルヘン街道」は花巻市を起点として遠野市などを経由し、井上ひさしの「ひょっこりひょうたん島」(大槌町の蓬莱島)に至る約120キロ。これに東の秋田県男鹿半島や五城目町に至る約170キロを加え、「おばこ・メルヘン街道」(仮称)と名付けた。合わせると全長約300キロに及ぶ太平洋と日本海を結ぶ長大なメルヘン街道が登場することになる。


   「イーハトヴ」ルートは3人のメルヘン作家の作品のほか、鬼剣舞や鹿(しし)踊り、虎舞など豊富な郷土芸能を有するまさに「メルヘンの宝庫」。「おばこ」 ルートにも横手のかまくらや大曲の花火、秋田の竿灯など幻想的な催しが多彩で、中でも男鹿半島の「ナマハゲ」は全国的に有名だ。


   「花巻(結海)は東西の連携軸を生かした被災地の支援と物心両面の交流を目指すという意味でもメルヘン街道の中継点にふさわしい。大槌-花巻-五城目は現代のメルヘンとも言うべき素晴らしいエピソードで結ばれている。街道の拠点に文学館や記念館を建設し、この地の地下水脈に流れる理念をくみ上げたい」と米地教授の夢は広がる。身を乗り出すようにして聞き入っていた、大槌町出身の佐藤美津さん(74)もうなずきながら言った。「今は高台移転や防潮堤の話ばかり。これも大事だが、今日の話にあったような夢の国を孫たちの世代にプレゼントしたい」


時にはナマハゲのお面を被るなどおどけた調子で講演する米地教授=結海で
時にはナマハゲのお面を被るなどおどけた調子で講演する米地教授=結海で
会場の被災者らには五城目町から駆け付けたスタッフによって、名物の「ダマコ汁」がふるまわれた=結海で
会場の被災者らには五城目町から駆け付けたスタッフによって、
名物の「ダマコ汁」がふるまわれた=結海で


ゆいっこ
ゆいっこネットワークは民間有志による復興支援団体です。被災地の方を受け入れる内陸部の後方支援グループとして、救援物資提供やボランティア団体のコーディネート、内陸避難者の方のフォロー、被災地でのボランティア活動、復興会議の支援など、行政を補完する役割を担っております。
ゆいっこは、「花巻」「盛岡」「北上」「横浜」「大槌」の各拠点が独立した団体として運営しておりますが、各拠点の連携はネットワークとして活用しております。
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