J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

中国米の輸入が急ピッチで増加 安さに外食産業が注目

   中国産のお米がジワリと広がっている。

   中国産を含む外国産米は、東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響で国産米が値上がりしていることを背景に、低価格を競う外食産業などから導入が始まっている。

輸入量、金額とも前年の2倍超増える

「中国米」の輸入が急ピッチで増えている!(写真はイメージ)
「中国米」の輸入が急ピッチで増えている!(写真はイメージ)

   中国産のお米の輸入量は急ピッチで増えている。財務省の貿易統計によると、中国からのお米の輸入量は2012年5月(単月)で4737トン、4億3072万円だった。前月に比べて輸入量で54.8%、金額ベースで53.9%も増えた。

   輸入量の累計でみても、2011年1~5月は1万5484トン、11億4958万円だったが、12年1~5月には3万5965トン、30億9878万円と、前年同期に比べて、輸入量で2.3倍、金額ベースでは2.7倍にも膨らんでいる。

   2012年3月10日から中国米を販売している大手スーパーの西友は、

「発売から4か月が経って、国産米と同じように安定的に売れています」

と話し、売れ行きは好調のようだ。

   現在、大手スーパーで中国米を販売しているのは西友だけ。中国米の販売は深刻な米不足で緊急輸入した1993年ごろ以来で、西友では首都圏と茨城県、群馬県、静岡県の1都6県の149か店で販売。5キロ、1299円は低価格帯の国産米よりも約3割安く、また少量の1.5キロも449円で販売している。

   商品名は「中国吉林米」。中国北部の吉林省産で、種類はジャポニカ種(うるち米短粒種)といわれる、国産と同じような粒の短い品種。西友では、「リピーターも少なくなく、低価格米を求めるニーズに、安全、安心さもあって、違和感なく受け入れられているようです」とみている。

   一方、イオングループは、「現状、中国米を取り扱う予定はありません」という。また、イトーヨーカ堂などを展開するセブン&アイホールディングスも、ファミリーレストランの「デニーズ」での使用を含め、「当面、取り扱う予定はない」という。

   ある大手スーパーは、「お米の販売は、どのスーパーも地元産を重視。そのうえで『魚沼産コシヒカリ』や山形県の『つや姫』といった人気のブランド米を取り揃えるようにしています」と説明。低価格米も、「国産米が好まれる傾向が根強い」という。

低価格の外国産米、外食産業には「助かる存在」

   外食産業で中国米を使おうというのは、すかいらーくグループ。関東を中心に28か店を展開するファストフード型店舗の「Sガスト」で、2012年7月中旬から使い始めた。

   11年産の国産米が東日本大震災による在庫減などで高騰しており、安価な中国米を使うことでコストを下げる。ただ、国内で新米が出回るまでの2か月間の限定的な対応で、継続使用については「わからない」としている。

   Sガストは、200~500円台の低価格で定食などを提供している。競合ともいえる牛丼チェーンの松屋フーズが4月から、外国産米(豪州産)を国産米に混ぜて使っていて、低価格競争でしのぎを削る外食、なかでもファーストフード・チェーンにとって低価格の外国産米は「助かる存在」といえる。

   しかし、やはり一方で「すき家」などを展開するゼンショーホールディングスは「現時点で中国産を含め、輸入米を使う予定はない」という。

   ある外食大手は、「外国産米が日本人の口に必ずしも合うとは言えない。安くても、味が落ちれば、お客は離れる」と慎重だ。