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「親日・反韓」サイトの取り締まり強化 韓国の監督組織が削除や接続遮断

   日韓両国の関係悪化は、インターネットの世界にも飛び火してきた。韓国の通信事業を監督する組織が、「親日」とみなすウェブサイトの取り締まりを強化すると報じられたのだ。

   ネット掲示板やブログでは、日本寄りと見られる書き込みが韓国でも相当数あるため、これに目を光らせるという。反日機運が高まっている韓国で現在、どのような「親日サイト」が存在するのだろうか。

「韓国人が本当に自分の国の悪口を書き連ねるサイトがあるのか」

   韓国では、国内の放送通信事業の公平性、安全性を保つために2008年、「韓国放送通信審議委員会」(KCSC)が設置された。委員には、政府から委嘱されたテレビ局の元社長や大学教授、法律家ら9人が名を連ねている。組織の中にはインターネット上の不法な書き込みや情報のやり取りを監視し、取り締まる部局もあるようだ。韓国の主要紙「東亜日報」(電子版)は2012年8月31日、このKCSCが、露骨に日本を称賛したり、逆に韓国をおとしめたりするようなサイトを探し、是正措置を図ると決定したと伝えた。

   KCSCは、2012年6月からの3か月間で1万9000件を超える「親日・反韓」の書き込みや写真が、ネット掲示板やブログを通じて拡散したとしている。特に顕著と思われる9つのサイトに対しては、削除や接続の遮断に踏み切ったそうだ。

   どのようなサイトが対象となったか、「親日」の基準は、など具体的な点は不明だが、強制削除という強硬な措置をとったのは、相当に「有害」との判断が下ったためだろう。

   ただ韓国内ではこの報道についてはあまり関心が高くないのか、ツイッターでは、「韓国人が本当に自分の国の悪口を書き連ねるサイトがあるのか」と疑う意見や、「思想の自由の侵害だ、と騒ぐ声が出るかも」と皮肉っぽくつぶやく人がいる程度だ。

   果たして、韓国で問題視される「親日サイト」は今も運営されているのだろうか。ネット上で検索してみたところ、少数ではあるが見つかった。

   ひとつ目のページを開くと、目に飛び込んできたのはページ上部に張られた旭日旗に「大日本帝国」の文字。時折日本語が混じっているが、ほぼ全編ハングルで書かれている。「親日」というよりは戦前の軍国主義を礼賛しているようで、黒い背景のデザインが仰々しさを感じさせる。「韓国の現実的批判」「日本の長所」「日本史研究」といった題名ごとに書き込みがあるが、多くは掲示板の管理人の手によるものだ。本人は自己紹介欄で「私は売国奴ではない。日本のことを本当に思う親日家だ」と主張している。

ハングルと英文で「竹島は日本固有の領土」

   別のもうひとつのサイトにも、やはりページ上部に強烈な印象をもたらす旭日旗のイラストが2枚、配置されている。1枚目には旧日本兵とみられるシルエット、2枚目は、黒澤明監督の映画「7人の侍」が描かれていた。

   「大日本帝國萬歳」の文字の後、ハングルで竹島問題に関する記述がある。「(竹島は)国際法、歴史的、地理的にも明白な日本固有の領土だ」と、とても韓国のサイトとは思えない。さらに続けて英文で「竹島は日本領。日本帝国主義は復活する」と書き込んでいる。やはりかつての日本の軍国主義を称賛するもので、対照的に韓国を見下した内容となっていた。

   いずれも、韓国のポータルサイト大手「ネイバー」上にある掲示板サイトだ。必ずしも韓国人が運営しているとは限らないが、ほぼ全編がハングルで構成されているうえに大手ポータル上にあり、これだけあからさまな書き方では今後、KCSCが問題視する可能性は十分ある。

   実際、「大日本帝国」というサイトでは管理人が、先述の東亜日報の記事を読んだとしたうえで「私は韓国に対して正しい批判をしているだけで、デマを流したり限度を超える韓国卑下の発言をしたりしたわけではない」と反発していた。

   このふたつのサイトは少々極端な例かもしれないが、ネットの世界でも日韓関係の冷え込みとともに、関連する発言に対する締め付けが強くなっていくかもしれない。最近では竹島問題をめぐって、韓流アイドルグループ「KARA」が韓国で質問を受け、明確に答えなかったことで批判を浴びるなど愛国心を試す「踏み絵」が行われている感もある。KCSCの取り締まりが強化されていけば、ネット上での息苦しさはどんどん増していくだろう。