J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

「パンくんはもっと早く引退すべきだった」 チンパンジーはもともと凶暴な動物だ

   「天才!志村どうぶつ園」(日本テレビ系)に出演している人気チンパンジーの「パンくん」が、動物園のスタッフに噛み付き、けがを負わせた。

   「お利口なチンパンジー」として親しまれてきたパンくんだが、なぜこんな事になってしまったのだろうか。

パンくん出演ショーは終了へ

   パンくんを飼育している動物園「阿蘇カドリー・ドミニオン」(熊本県)によると、パンくんは2012年9月6日、15時から行われた「みやざわ劇場ショー」に出演した。ショーが終わった15時55分頃、トレーナーの宮沢厚さんと手をつないで舞台裏に戻ろうとしたが、手が離れてしまい、舞台袖で待機していた女性スタッフを襲ってしまった。このスタッフを含め周囲にいた人たちがパンくんを刺激するような行動をしたなどの事実はなく、「本当に突然の出来事」だったという。

   ドクターヘリで熊本市内の病院に搬送されたスタッフは、額、腰、耳の後ろ、足首の4か所に切り傷を負っており、縫合手術を行った。1週間ほどで抜糸、2週間ほどで退院できる見込みとのことだ。スタッフは福岡市の動物専門学校から研修に来ていたという。

   パンくんに何らかの処分を下すことは「全く考えていない」とのことだが、パンくんと宮沢さんが出演するショーはもう行わず、他の動物が出演するショーに切り替えるという。ただ、今後も「チンパンジー学習の森」という屋外施設で、普段のパンくんの姿は見られるそうだ。

   パンくんは01年に宮崎市フェニックス動物園で誕生し、04年に阿蘇カドリー・ドミニオンにメスのチンパンジー「ポコちゃん」と共に移され、ショーに出演し始めた。「志村どうぶつ園」のレギュラーになったのもこの頃だ。箸やスプーンを上手に使って食事したり、カメラで写真を撮影したりと、人間に似た行動を取ることから「天才チンパンジー」として親しまれるようになった。12年にポコちゃんが性成熟を迎え、13年4月から繁殖に挑戦することとなったため、ショーの引退を発表。7月から「引退公演」が行われていた。

6~7歳を超えるとなかなか感情を保てなくなる

   パンくんはなぜ人を襲ってしまったのだろうか。サル類の総合的研究などを行う「財団法人 日本モンキーセンター」の加藤章園長に話を聞いてみた。

   野生のチンパンジーは政令で猛獣として指定されるほど凶暴で、6~7歳を超えるとなかなか感情を保てなくなるという。海外のチンパンジー調教師は「ナインフィンガー」と呼ばれているが、これは「指が全部そろっている調教師はまれ」という意味だそうで、それだけチンパンジーを扱うのは危険ということなのだ。

   チンパンジーは自分より強い相手か弱い相手かを判断して行動するので、今回噛み付いたスタッフを下に見たのだろうとのことだ。チンパンジーの扱いに慣れていない研修生をパンくんと同じ土俵に上げるべきではなかった、と言っていた。

   パンくんはすでに10歳で、阿蘇カドリー・ドミニオンの施設では扱うのは困難だったろう、もっと早く引退するべきだったと話していた。

   ショーの出演はなくなるとのことだが、「志村どうぶつ園」のレギュラーはどうなるのだろうか。日本テレビに問い合わせたが、担当がいないということで確認できなかった。