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大学4年生に人気の「mixi」 でも就活ではフェイスブック使う理由

   大学生と大学院生を対象としたSNSの利用調査で、興味深い結果が出た。学年や目的によって、利用するサービスに違いが見られたのだ。

   新入生に人気が高かったのが「LINE」。一方「mixi」は大学3、4年生の利用率が6割超となった。ところが就活での利用となると、mixiではなくフェイスブックに軍配が上がった。なぜだろうか。

新入生にとってLINEは「ちょうどいい」ツール

就活ではフェイスブックの利用者が多い
就活ではフェイスブックの利用者が多い

   調査を実施したのは「Gabaマンツーマン英会話」で、学生と院生の男女1000人から有効回答を得た。全体で最も利用されているSNSはツイッターで、mixi、LINE、フェイスブックの順で続く。ツイッターは大学1~4年生の間で比較的まんべんなく利用率が高いが、ほかのサービスは学年間で差が出た。

   顕著なのがLINEだ。今年入学した1年生が6割を超える半面、2年生以降は40%台前半にとどまる。逆にmixiやフェイスブックは大学3、4年生に利用者が集まった。特にmixiの場合は両学年とも6割強に達する。

   この差は何が原因なのだろう。ITジャーナリストの井上トシユキ氏はJ-CASTニュースの取材に、「各サービスが流行した時期」を挙げる。例えば「LINE」がスタートしたのは2011年6月。立ち上げから1年強しか経過しておらず、ちょうどスマートフォン(スマホ)のブームと重なっている。井上氏は、「大学入学時にスマホに買い替えた」今年の新入生にとって、無料で通話できたり気軽にメッセージが交わせたりするLINEはちょうどいい、と話す。面倒な登録作業が不要で、電話番号だけで連絡が取り合えるため、「地方から上京してきた新入生が、地元で一緒だった同級生が東京にいると知って『ちょっと話したい』という場合に最適ではないでしょうか」。

   一方でmixiが高学年に利用者が多いのは、「大学に入学した3、4年前は、ツイッターやフェイスブックが日本に入る前、あるいは上陸したばかりだった」点を指摘した。しかもフェイスブックは当初、「実名登録が原則のため、日本人ユーザーは敬遠しがち」などと報じられていた。身近な友人同士、ネット上でコミュニケーションを図るうえでmixiが適していると感じ、不便がない以上はわざわざフェイスブックに乗り換える必要性もなかったのだろう。

   ところが調査では、「就活に役立つSNS」との質問で61.7%がフェイスブックと圧倒的に多い。対照的にmixiは10.6%にとどまった。これは学生側よりも、企業側の事情によるのではないかと井上氏は考える。

就活でのフェイスブック利用は「情報収集」

   フェイスブック上には、三井不動産や日本生命、日立製作所といった大手企業が新卒採用に特化したページを開設し、説明会の日程をはじめ就活生にとって必須の情報を掲載している。業種のカテゴリーも幅広い。一方mixiでは、同様の情報ページは数えるほどだ。

   就活生は「もしかしたら重要な情報が得られるかも」と考え、フェイスブックにアクセスする。ただし利用方法は「限定的」と言えそうだ。Gabaの調査では、就活でのSNS利用は主に企業情報の収集や就活生同士の情報交換、志望先に勤務する社員の実態を探るといった目的で、SNSを介してOB、OGに何人訪問したかとの問いには、平均1.1人と少なかった。井上氏は「企業の人事担当者にとっては、フェイスブック経由で『勝手に』社員と会わないでほしい。仮に就活生が自社の社員と面会した際に悪い印象を持って、インターネット上に悪意ある書き込みでもされたら、会社のイメージダウンにつながりかねません」と説明する。企業側もフェイスブックの活用は、まだ手探りの面があるようだ。

   それでも、就活のためのSNSとしてフェイスブックが定着しつつある。大学3、4年に人気がありながら「就活ユーザー」を取り込めていないmixiは、起爆剤となるような方向性が出ないと「じり貧になる恐れがある」(井上氏)。

   運営会社であるミクシィの笠原健治社長は6月11日付の日本経済新聞電子版のインタビューで、mixiは身内の閉じたつながりになっているため「本音や弱音、プライベートなことを吐き出せる空間になっていけるんじゃないか」と話し、フェイスブックとの住み分けに自信をみせた。確かに調査では、大学3、4年生が2種類のSNSを使い分けているような印象はある。だが1年生の圧倒的支持は「LINE」に集まっていた。この世代が就活生になったとき、LINEの存在感が高まる可能性は十分あるだろう。