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「自民の改憲草案はナチスの全権委任法と同じ」 アジカン後藤、学者の意見引用して主張

   2012年12月の衆院選は自民党の大勝に終わり、主にインターネット上で安倍新政権への期待の声が高まっている。

   自民党の公約の目玉の1つが「憲法改正」だ。草案では「国防軍を保持する」「緊急事態には内閣に特別な権限が与えられる」などが規定されているが、これにミュージシャンが異議を唱えている。

2年前の「自民が徴兵制検討」記事に「デマならいいけど…」

   ロックバンド「ASIAN KUNG-FU GENERATION(アジアンカンフージェネレーション)」でボーカル&ギターを務める後藤正文さん(36)は12年12月15日、衆院選投票日の前日に「これデマなのかな?」という一言とともに、10年3月の共同通信の「自民、徴兵制検討を示唆 5月めど、改憲案修正へ」という記事のURLをツイートした。

   「2010年の記事だよ」と指摘を受けると、「過去にはそういう事実があるってことでしょう?」と返した。他のユーザーからも、大島理森氏の「わが党が徴兵制を検討することはない」という正式なコメントが出ているという指摘を受けたが、「デマならいいんです」と返答した。

   後藤さんのツイートに対し「みんな知らずに投票してたら大変!」「気になる改憲草案ですね…」など賛同といえる意見も寄せられたが、「デマ記事をツイートするなんて軽率」「投票日前の不正確情報は悪質」といった批判もあった。

   後藤さんはこれを受け、12月18日、「お詫び」というタイトルのブログを更新し、「感情的だった」と反省した。しかし依然として改憲案を「怖い」と思っており、その理由を長々と書いている。

   後藤さんは、「自衛隊が国防軍に改称されて、軍隊として位置づけられる」「自衛権の発動、つまり交戦権が明記される」「天賦人権説を改めるということは、人権は国が規定するということか」「憲法改正へのハードルが下がり、政権与党が圧倒的な支持を受けている場合戦前のような状態にならないか」という点で改憲案におそれを抱いているらしい。

「一切が僕の妄想であって欲しいと思います」

   そして法律学者のたきもとしげこさんが、マイクロブログ「tumblr」に投稿したこんな文章を引用した。

「その昔、ドイツで社会権について初めて規定した先進的なワイマール憲法が、突然殺され、無効化されたのです。1933年3月23日のことです。その理由は、合法的な選挙によって政権を握ったナチスによって、全権委任法が制定されたことにあります。これは緊急事態の宣言さえすれば、国会での議論を経ることなく、内閣が単独で自由に立法権を行使できるという法律でした。その後、ドイツ国内では様々な非人道的な所業が合法化され、さらには全世界を巻き込んだ前世紀の最終戦争へと発展していったのです。今現在、自民党は憲法「改正」と称する案を公表しました。その『改正』案99条には次のような文言がみられます。『緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができる(後略)』これはまさに、全権委任法と同じ効果を持つ、恐るべき案です」

   後藤さんは「一切が僕の妄想であって欲しいと思います」とした上で、「こういうことを語り合う場合、ボケ!とかカス!とかお花畑!とか、そういう言葉でやり合わないで欲しいと望みます。人格否定なども含めて。そして、無用に他国民を排斥しろと発言する方々については、はっきりとレイシズムだと思うので、やめて下さい」と、政治的な問題について語った時に口汚く批判してくるネットユーザーや、嫌中・嫌韓派を暗に非難した。

   ブログを読んだ人からは、後藤さんのツイッターアカウントあてに「ゴッチありがとう。すげーわかりやすい」「自民党は戦争なんてやるはずないと思った人は見て欲しい」「イランや北朝鮮に攻められた時、国防したらナチスですか?」「あなたはもう何ヶ月にもわたって、海保や海自の皆さまが、私達を護る為に命をかけて戦っているのを知っていますか。自衛隊という不安定な位置づけが、どれだけ彼らと家族を不安に陥らせているか、知っていますか?」など賛否両論が寄せられている。