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引退の金本、「将来は広島監督をやりたい」 来年はフリーで「勉強」する

   21年間のプロ野球選手生活にピリオドを打った金本知憲氏が2012年12月27日、日本記者クラブで記者会見を行い、将来は広島監督に就きたいと語った。来年はフリーの立場で勉強し、「そのとき」に備える考えを示した。

「練習の鬼」も引退後はジムにも行かない毎日

   阪神のユニホームを脱いだ途端、生活が一変したという。「練習の鬼」は現役引退の翌日から一度もトレーニングジムに通っていない。

「昨年までは、今頃はジャージを着て自宅とジムの往復が日課だった。ところが今年はスーツ姿だけ」

   あちこちからお呼びがかかる毎日で、時間と勝負しているというのである。一方で、所属する事務所(東京)も決まり、来年の活動方針も固まった。

「来年はフリーの立場でやる。(野球の)評論家をはじめ、一般のスポーツも勉強し、視野を広げたい」「だから今は、指導者になるという話は実感できない」

   その上で、将来、監督ができればやりたい、という。金本は広島、阪神でプレーしたから、両球団の監督有資格者である。

   「もしやれるなら広島の監督をやりたい」と明言。阪神については「超人気球団だし、大変だと思う」。

阪神よりも広島への愛着が強い

   広島監督を熱望した理由は「広島は自分が育った球団でもあり、選手教育がしっかりしているし、古き良き時代の節度がある」。

   そして広島の使命に重きを置いている。いうまでもなく広島は原爆が投下された場所。金本はそこを強調した。

「私の両親も被爆した。だから子供の頃から原爆の話は聞いている。学校の授業でも何度も何度も話を聞かされた。先輩たちはそういうハンデを乗り越えてきた。その広島のために尽力できればと思っている」

   広島への愛着は強い。入団して3年間は自宅にネットを張ってバットスイングをした。「だれにも負けないだけの回数を振った」と振り返った。そこから「鉄人」と呼ばれるまでになった。プロ野球選手金本の原点が広島にあることを自覚している。

   数々の記録の中で「最も誇れる記録は連続打席無併殺記録(1002打席)」と言った。大リーグ記録をしのぐ1万3686イニング連続出場などの世界記録ではなかった。チームのため、これが金本の実像である。

   広島には前田智徳というチーム生え抜きの大選手がいる。いずれ監督になる男だ。その後にチャンスが回ってくるだろう。それまで勉強の日々を送ることになる。

(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)