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独立系ローカルTOKYO MXが大躍進 「アニメ見るならここ」のイメージ浸透

   東京の独立系ローカルテレビ局「TOKYO MX」(東京メトロポリタンテレビジョン)の躍進がとまらない。

   従業員数わずか100人足らずだが、2012年3月期決算で「1人1億円」の売り上げを達成。11月16日に発表した12年度上半期の決算ではそれを上回るペースで売上げを伸ばし、過去最高となっている。

テレビ初の「初音ミク」ライブを特集

TOKYO MXは「アニメ」で業績アップ!(写真は、TOKYO MXのアニメポータルサイト)
TOKYO MXは「アニメ」で業績アップ!(写真は、TOKYO MXのアニメポータルサイト)

   TOKYO MXの2012年度上半期の決算によると、売上高は69億9700万円で前年同期に比べて58.9%増となった。営業利益は7億4300万円(同200.5%増)、経常利益は7億3900万円(同234.8%増)、中間純利益は4億2000万円(同193.8%増)と、利益では約3倍も増えた。

   好調の要因を、TOKYO MXは放送事業収入が前年同期比22.4%増、イベントなどのその他事業収入が同188.7%増えたこととし、スポーツ番組の売上げ拡大や前年度から進めている放送料金の改定などが功を奏したと説明する。

   編成面では、自社制作番組のうち、朝を新番組「チェックタイム」としてリニューアルしたほか、「5時に夢中!」「ゴールデンアワー」も内容を刷新。ニュースも地域密着を重視した取材体制を敷いた。

   新番組では、5月に開業した東京スカイツリーのサテライトスタジオからの視聴者参加型の生放送番組「おしあげNOW」をスタート。スポーツでは、福岡ソフトバンクホークス戦(ヤフードーム)62試合を中継したほか、東京シティ競馬中継や、高校野球では東西の東京大会も放送した。

   なかでも、中川謙三社長が「アニメや自社制作番組『5時に夢中!』の好調で、業績が急拡大している」と説明するように、話題のアニメ番組を多く編成。「アニメを見るならMX」を印象付けた。

   宮崎駿監督の初監督作品「未来少年コナン」や、1980年代に一世を風靡した「北斗の拳」、「機動戦士ガンダムSEED」に「タッチ」「科学忍者隊 ガッチャマン」など、懐かしく、誰でも知っているアニメの名作や新作が朝から昼、夕方、深夜と、毎週約60本を放送。さらにはバーチャルアイドル「初音ミク」のライブや制作現場を独占取材した特集番組をテレビで初めて組んだ。

   「こうしたことが呼び水になって、新たなクライアントがつくようになりました」と、アニメ強化が業績アップにつながったことを強調する。

10月1日から、東京スカイツリーからの放送開始

   一方、ローカル局とはいえ、TOKYO MXの情報番組やバラエティー番組の出演者はなかなかの顔ぶれが揃っている。看板番組の「5時に夢中!」のMCにはタレントのふかわりょうさんと、元日本テレビアナウンサーの町亞聖さんを起用。マツコ・デラックスさんや作家の岩井志麻子さん、中村うさぎさん、中尾ミエさんら、「辛口」の面々が日替わりで登場する。

   また、内村光良さんとさまぁ?ず、バナナマンやテリー伊藤さんなどがレギュラー番組をもっている。12年3月に、漫画家の西原理恵子さんが「不適切発言」で降板したことも記憶に新しいが、どの顔も他の民放局でもおなじみだ。

   出演者のギャランティーもかなりかかっているように思えるが、TOKYO MXは「制作費が上がりつつあることは確かです。ギャランティーは最低ラインのところをお願いしています。ただ番組の性格上、比較的自由に発言できるよう演出していますし、その点を踏まえて了承いただいております」と話している。

   TOKYO MXは2012年10月1日から、東京スカイツリーからの放送を開始した。東京タワー時には1286万世帯だった視聴可能世帯数は1430万世帯に拡大。ローカル局としては群を抜く規模になり、これも業績アップにひと役買いそう。

   同社は、12年度通期の売上高で127億6000万円、経常利益13億500万円、当期純利益で6億4400万円を目指しているが、「不可能ではない」と鼻息は荒い。