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「働くのは金儲けではなく人間性を高めるため」 渡邉美樹氏の「信念」にネットで皮肉相次ぐ

   「人間が働くのは、お金を儲けるためではなく人間性を高めるためである」――ワタミグループの渡邉美樹会長がこんな「信念」を披露してネットで話題になっている。

   よくある経営哲学のような印象も受けるが、ワタミは「ブラック企業大賞2012」のウェブ投票で1位に輝いた企業。ネットでは「安月給でこき使われても自殺に追い込まれても文句言ってはいけません」などと皮肉に受け取る人が多く出た。

コツコツと地道な仕事をする大切さを説く

   渡邉氏の発言は2013年1月21日付のプレジデントオンラインに掲載された。「ハッスルする人は、出世できないのか」と題し、口先だけ威勢の良い人を「うわついている」とたしなめ、コツコツと地道な仕事をする大切さを説いた。それによると、渡邉氏には

「人間が働くのは、お金を儲けるためではなく人間性を高めるためである」

との信念があり、ワタミグループは「額に汗しないで稼ぐお金はお金ではない」と定めているそうだ。そして、「コツコツ仕事を続けていると、必ず人間性は高まります」と強調した。

   これに対し、「ようは給料は払わないけど死ぬほど働けって事」「だから安月給でこき使われても自殺に追い込まれても文句言ってはいけません 」「ワタミの会長は今までまったく働いていなかったことになるのでは」「人間性が高くなりすぎると死ぬわけか」「これが日本の土着宗教『労道』ってやつやね。生きるために働くのではなく、働くために生きろってか。ありがたくて涙の出るお言葉やで」と皮肉めいた感想が2ちゃんねるやツイッターに大量に寄せられた。

   また、ラジオパーソナリティの伊集院光さんは21日深夜放送のラジオ番組「深夜の馬鹿力」(TBSラジオ)で、「じゃあ店の売り上げがゼロでも店員の人間性が高まれば文句はないんだよね」と疑問を呈した。

「ごめん、言ってるのが和民じゃなかったらうなずいてた」

   ワタミでは2008年に入社2か月の新入社員が自殺した。2012年2月、長時間労働によるストレスが主な原因として労災認定されたが、同社は「報道されている勤務状況について当社の認識と異なっておりますので、今回の決定は遺憾であります」とのコメントを発表し、批判を受けて削除。渡邉氏もツイッターで「労災認定の件、大変残念です」「労務管理できていなかったとの認識は、ありません」「ワタミは天地神妙に誓ってブラック企業ではありません(原文ママ)」などと述べて、ネットで大きな議論を呼んだ。こうしたことから、同社は12年7月、「ブラック企業大賞2012」のウェブ投票で圧倒的な得票数でトップになり、「市民賞」も獲得した。

   ただ、言っている内容自体は正論だとして、

「ごめん、言ってるのが和民じゃなかったらうなずいてた」
「別にいつも言っていることと本質は何も変わってない。至極まともな事実、経験則、実体験、考えを述べているだけ」

と言う人もいないわけではない。

   渡邉氏の主張は以前からのもので、12年6月にも、「お金のために仕事をする。冗談じゃない。仕事は生きることそのもの」と講演会で語り、話題になっていた。