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マック原田社長「広告宣伝費を前年の6倍」 こんなまことしやかな噂が広がった理由

   日本マクドナルドが2013年の宣伝広告費を前年の6倍にする、といった噂がネットに流れている。同社の年間の宣伝広告費は60億円だから、360億円も使うことになる計算だ。

   ネットでは、広告費をこれ以上増やしても売り上げが急激に伸びることはないのではないか、という疑問が上がり、「原田社長の大暴走か?」「バイトの時給上げる資金に使ってくれよ」などといった意見が出ている。

360億円も使っては経営に支障が出るのは確実

広告宣伝費6倍は本当か?
広告宣伝費6倍は本当か?

   この噂の出所は、ニュースサイト「リアルライブ」が13年1月19日付けで配信した記事(週刊実話にも掲載)で、見出しが「マクドナルドHD原田社長がぶち上げた『宣伝費6倍引き上げ戦略』の爆発力」となっている。

   記事は原田社長が13年1月半ばに行った会見について書かれていて、12年は商品戦略と価格戦略の見通しが外れ、既存店の売り上げが10ヶ月も前年を割ってしまった。そのため13年の方針として、朝メニューの強化と低料金メニューを増やすほか、宅配事業も本格化したうえ、

「昨年比約『6倍』の広告宣伝費を投入して周知を徹底、朝食時間帯の売り上げを10%以上伸ばす」

と語ったと書いてある。

   この6倍という数字がメディア界で波紋を広げた。同社の年間宣伝費は60億円程度だが、これが360億円になると、いくら売り上げを伸ばしても会社全体では赤字になる可能性が高い。なので、6倍と言うのは6割り増しを言い間違えたのではないのか、などと推理も加えている。「マクドナルドHDの決断は、どう転ぶ…」と記事は締めくくっている。

「6倍になるのは朝マックだけ」と広報は困惑

   ネットではこのニュースについて、原田社長は狂気の沙汰だ、とか、そんなお金があったらバイト代を上げろとか、リッチなメニューを赤字覚悟で安く提供する方がお客受けはいいはずだ、といった見方のほか、

「プロ野球球団を持ったほうが効率いいんじゃね?」
「マスコミにカネをばら撒き報道統制するの?韓国企業みたいだな」
「広告費を販売価格に転嫁するとしたらたまったものではない」

などといった勝手な憶測まで出る始末だ。

   日本マグドナルド広報に聞いてみたところ、

「全くの間違った内容が元になった騒ぎで大変驚いております」

ということだった。

   広告宣伝費を6倍にするのは朝のメニュー「朝マック」だけで、それでも驚くような数字にはならないという。「朝マック」は年々好調に売り上げを伸ばし、さらに成長が期待できるため13年の同社の重点分野に決定した。「朝マック」の広告宣伝費はテレビやラジオを中心に13年1月中旬から展開しているそうだ。