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東京五輪「最大の敵」に韓国浮上? 「アジアで2大会連続開催」前例なし

   2020年の夏季オリンピック(五輪)招致レースが、最終局面にさしかかってきた。候補地の東京、スペイン・マドリード、トルコ・イスタンブールで国際オリンピック委員会(IOC)による現地調査が進んでいる。

   東京では、懸念されていた市民の「支持率」も上昇中だ。だが別の観点から不安材料を指摘した人物がいた。フリーアナウンサーの久米宏さんだ。

アテネ、トリノと連続で欧州開催の五輪

規定上は開催地として問題なし
規定上は開催地として問題なし

   久米さんは毎週土曜日午後、TBSラジオで生番組のパーソナリティーを務めている。2013年3月16日の放送で冒頭、2020年の東京五輪招致を話題にあげた。あまりオープンにされていないが「最大のネック」があるのだという。

   持ち出したのは、冬季五輪の開催地だ。2014年はロシア・ソチで行われるが、久米さんは、共に番組を担当する堀井美香アナウンサーに「ソチの次の冬季オリンピックって知ってますか」と質問した。堀井アナが答えられずにいると「ほとんどの人が知らないんですよ……もうね、2011年7月6日に決まってる」と話した後、2018年は韓国・平昌(ピョンチャン)で開かれると明かした。つまり東京は「韓国の直後の五輪」を目指しているのだが、日韓はともにアジア。同じ地域で五輪が連続開催になるケースがあまりない、と心配する。

   久米さんによると、アジアで立て続けに五輪を開催するのを米国のテレビ局が嫌がるだろうという。時差を考えると平昌と東京は、ニューヨークより14時間、夏時間では13時間進んでいる。競技時間が午後から夜にかけてとなれば、米国では真夜中から朝方となり、放送時間としては「最悪」というわけだ。2大会連続で「ドル箱」の五輪中継に悪影響が及ぶのは、どうしても避けたいということか。

   夏冬の五輪が続けて同じ大陸、エリアになったケースは、実は過去に何度か見られる。ごく最近でも、2004年の夏季五輪はギリシャ・アテネで、続く2006年の冬季五輪はイタリア・トリノとどちらも欧州だった。さらに1992年は冬季と夏季両大会が行われたが、冬はフランス・アルベールビルで夏がスペイン・バルセロナ。さらに1994年の冬季大会はノルウェー・リレハンメルだ。こちらは「3大会連続」となっている。

   ほかにも欧米では、続けて開催された事例はある。一方でアジアは、過去に2大会連続というケースがなかった。

IOC会長自ら「東京不利」を否定

   「五輪憲章」第5章には、開催都市の決定に関する規定が書かれている。開催年の7年前に選定が行われる、IOCに開催都市として申請する際には、その国の五輪委員会の承認が必要、ひとつの国から複数の都市が立候補できない、といった内容だ。IOCは申請が出された都市から1次選考で「候補都市」を選出、IOC会長に任命された評価委員会メンバーが会場視察を含む調査を行い、その報告を受けてIOCが開催都市を決定する流れになっている。

   しかし五輪憲章の中には、同一地域から連続しての開催都市選定を回避するといった規定の文言は見当たらない。2018年冬季大会が平昌に決定した2011年7月時点で、東京はまだ2020年夏季大会開催地として正式に申請をしていなかったが、IOCのジャック・ロゲ会長は2011年7月14日、日本外国特派員協会で講演した際に、平昌での冬季五輪開催が2020年夏季大会のアジアでの開催に不利にならない考えを示した。アテネ夏季大会とトリノ冬季大会のように、欧州での「連続開催」を例示して「求めるのは質であって、『大陸』ではない」と発言。地域性を問題視しないことを明言したのだ。

   実際に東京は、2012年2月13日にIOCへの申請を受理され、今日まで「最終選考」に残っている。

   久米さんがラジオ番組で言及した「米国でのテレビ放映」に関連する利害が開催地の決定にどう影響するかは不明だ。ただ、IOC会長自ら「東京不利」の見方を否定したこともあり、アジア初の冬、夏続けての開催も実現性はあるとみられる。