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入社初日、「会社辞めました」 いったい何があったのか?

   超氷河期は越えたものの、依然として簡単ではない就職。頑張って就活して、ようやく採用された会社を、もう辞めてしまった。2ちゃんねるに、そんなスレッドが立って話題になっている。

   「まだ入社式しか済んでないじゃん」「入ってからブラック(企業)って気づいたわけだ」などといろいろなカキコミがあるが、「さすがにはえーよ 初日だろ」との声も。いったい、何があったのか。

「やってらんねぇから昼で帰ったわ。」

   2013年4月1日。入社式を終えたばかりとみられる新入社員が、

「昼休みでバックレる 公務員試験受けるわ」

と書き込んだ。

「朝から社長の話を全員正座して聞くとか、やってらんねぇから昼で帰ったわ。」
「帰ってきてから上司に辞めますってメールしたんだけど、明日から行かなくて良いんだよね?」

   さらに、これには驚いた。

「朝一で電話で辞めました」

事実は確認できないが、入社当日に会社に行きもしないで辞めたというのだ。

   入社初日と言わないまでも、すぐに辞めてしまう新入社員は毎年一定割合で存在する。「五月病」などといわれ、一般的にはゴールデンウイーク明けになると出社しなくなる人も、ぐんと増えるとされる。

   一生懸命に就活して、やっとの思いで内定をもらったとはいえ、「自分の就きたい職業、職種ではなかった」、「不本意ながら、その会社しか内定がもらえなかった」と、入社前から不安やためらいを感じていた人が、実際に会社に行ってみたところ、「自分にはあわない」と判断して辞めてしまった。そんな推測はできる。

   とはいえ、そんなにも早く会社を辞めてしまうのは、なぜなのだろう――。しかも、そんな新入社員のカキコミは、じつにあっけらかんとしているのだ。

   人事コンサルタントで「ブラック企業アナリスト」の新田龍氏は、「新入社員、会社、就職情報メディアのそれぞれに問題があります」と指摘する。

   まず、新入社員にいえることは「社会人としての自覚がない」こと。「働いてお金をもらう、ということを理解していないパターンですね。また最近は部活やサークルの加入率が減って、理不尽な目に遭ったことのない人の割合が増えています。学校でも本気で怒られたことがないまま大人になっているので、彼らは『怒られる』ことを『割に合わないこと』として忌避します。会社を辞めても、転職支援サービスは充実していますし、再就職が難しくても、しばらくはバイトでもそこそこのお金はもらえますし、家族が養ってくれるでしょうから最低限度の暮らしはできます。そういった環境要素も、安易な離職の温床になっています」と分析している。

仕事内容、社風、人間関係で「こんなはずじゃなかった…」

   会社や就職情報メディアの問題は、就活生に自社を実態よりもよく見せようとすることだ。 新田龍氏は、「新入社員を被害者として考えるなら、自社の実力で学生を集めたり、採用できない企業が、就職情報メディアの営業と提案を受けて、実態から乖離した『理想の職場』のイメージを植え付け、それを信じた学生が入社後にギャップを感じて辞める、という構図が考えられます」と話す。

   社風や仕事内容、人間関係などで、「こんなはずじゃなかった…」と嘆くパターンだ。

   「社会が豊かになった半面、『生活のために働く』という視点が抜け落ちて、新入社員が『社会貢献』『グローバル』『クリエイティブ』『お客様と直接触れ合う』『自己実現』といった点ばかりに目を向けているので、目の前の仕事に対して『こんなはずじゃなかった…』などと感じるわけです」とも付け加えている。

   とはいえ、ネットにはこんなカキコミもある。

「お前ら頑張れ しぬわけじゃなし、なんとかなるもんだよ」