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「LINE」を利用し中学生が「美人局」事件起こす 「最強の出会い系マシン」に有効な対策はあるのか

   利用者が世界で1億人を突破した日本生まれの大人気アプリ「LINE(ライン)」。通話やメールが無料で楽しめるというものだが、これがネットで「ネットのナンパツール」「最強の出会い系マシン」などともてはやされていて、最近では中学生が「LINE」を利用して男性を呼び出し、「美人局」の手口で現金を脅し取るという事件が起こった。

   かつてSNSでは「ミクシィ」や「グリー」が出会い系になっている、などと叩かれたが、規制が強化されたことで健全化が進んだ。そして「LINE」が新たな出会い系の場所として選択されているようだ。

「ぇち友ぼしゅう。あんま顔には自信ないけど」

   「LINE」は2011年6月にサービスを開始し、僅か1年と7か月で日本を中心にユーザーが1億人を超えるなど、世界最大のSNS「フェイスブック」超えも視野に入るほどの成長ぶりだ。アプリのダウンロードや会員登録にお金はかからず、友達認定した同士ならば電話代不要で通話ができ、チャットも楽しめることが人気の要因だが、これが出会い系システムとして利用されている。

   ネットで「LINE」を検索すると、「LINEで彼女・セフレ探し!」「LINE掲示板/友達募集・出会いはNo.1」「ネットナンパできるアプリ」などといったサイトが多数見つかる。また、「LINE」に対応した、友達募集のアプリも多数配布されている。

   なぜ出会い系として使われているかといえば、相手の電話番号を知らなくても、登録しているIDが分かると友達申請が可能で、承認されれば直接通話や、メール、チャットができるようになること。このIDは、趣味の書き込みをしているような掲示板でも表示されるため、友達になりたい人が見つかれば直接交渉できる。また、明らかな出会いを目的とした掲示板には、自分のIDを晒して、

「ぇち友ぼしゅう。あんま顔には自信ないけど。ヤフーつけてメールして~」
「H友な関係で会いませんか?仕事の関係で時間は融通ききます」
「年上もぜんぜんOKです。もちろん人妻さんも」

などという書き込みが出ている。

   こうしたことが犯罪の温床になっているようで、13年1月には「LINE」で知り合った会社員の男ら3人が、14歳から16歳の少女と性的関係を持ったとして、児童買春・児童ポルノ禁止法違反などの容疑で逮捕された。また、13年4月7日の報道では、富山県の中学生を含む少年、少女4人が「LINE」で知り合った21歳の無職の男性を呼び出し「美人局(つつもたせ)」の手口で現金を脅し取ったとして逮捕された。この4人は同様の手口で10件ほどの余罪があるという。

ミクシィやグリーは運営側が規制強化

   出会い系として使われている、などと批判を浴びていたSNSは2年ほど前から規制を強化している。出会い系に誘導するサイトには「mixi、GREEでは難しくなっている今、出会いはLINE」などと書かれている。

   ミクシィ広報に話を聞いてみると、面識のない男女の出会いに進展する可能性のあるやり取りは禁止事項になっていて、ミクシィ内でやり取りしているメールに、メアドや、電話番号があれば警告文を送信し、悪質な場合はアカウント制限や強制退会にしているという。

   グリーの場合は徹底していて、ユーザーがメールにメアドらしきもの、電話番号らしきものがあると不適切判断され送信すらできない。24時間パトロールも行っていて、直接連絡を取り合うための「隠語」らしきものもチェックしているという。さらに、年齢別の機能制限を細かに設定していて、例えばメールに関しては、13歳未満は使用できず、13歳のユーザーならば13歳から15歳の相手のみ送信することを許している。

   ミクシィやグリーの場合は、サイト内でメールや掲示板を使って交流しているため、そこに運営側の監視が目を光らせ「事件」を未然に防ぐことになるのだが、一方の「LINE」に関しては、通話やチャットがリアルタイムに直接行われるため、ミクシィやグリーとは異なった対処が必要になるのかもしれない。

   「LINE」広報に対策について話を聞いてみたところ、全国各地の学校や父母・教職員団体向けに社員を派遣し、利用に関する啓蒙活動を行っているという。また、異性との出会いや交際目的の書き込みを発見した場合は削除要請を行うと共に、友だち募集を目的とした非公式サービスについてはリストを開示して注意を喚起し、運営事業者に抗議・差し止め要求を行っているという。その結果、12年4月と比較し、非公式サービスは半数以下(45%)に減っていると回答している。