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韓国が竹島に「LTE基地局」設置 日本キャリアの携帯は使えるのか

   島根県の竹島へのLTE基地局の設置を韓国の通信大手3社が完了させたと、複数の韓国メディアが2013年4月15日に報じた。17日から高速無線通信「LTE」サービスが利用できるようになるという。

日本の通信事業者は「エリア外です」

韓国が竹島にLTE基地局を設置
韓国が竹島にLTE基地局を設置

   韓国の通信会社SKテレコム(SKT)、KT、LGユープラスの3社は12年11月に、竹島にLTE網を構築するため、独島管理事務所にLTE基地局設置許可申請書を提出。同年12月に承認された。

   KSTの関係者は今回の事業について、「独島は韓国の領土としての象徴性が高い。通信の主権を確保するため、韓国の最先端の移動通信技術を独島(編注:竹島の韓国名)に導入した」と説明しているという。ある韓国メディアは、LTE基地局の設置により、竹島に常駐する人員や年間21万人にのぼる観光客に、早くて安定的なLTEサービスが提供されると試算している。

   今回導入されたのはLTEだが、すでに7年前から韓国の通信事業者は竹島の通信の整備を進めていた。2006年には通信事業者各社が小型基地局を設け、半径80~90キロの海域の漁船でも携帯電話を利用できるようにした。さらに、ローミングサービスを利用すれば、国際電話もできるという。

   日本の通信事業者の対応はどうなっているのか。大手3社に2013年4月16日、J-CASTニュースが竹島での電波状況を聞くと、各社は「エリア外です」と口をそろえた。もし仮に携帯端末を持って竹島に近付くようなことがあっても、NTTドコモやau、ソフトバンクの電波をつかむことはないようだ。

   なお、竹島には韓国の警備隊が常駐しており、日本人の上陸は難しいとされる。

国際ローミングで「理論上はつながる可能性」

   ただ、先に名前を挙げた各社は、LTE基地局を設置すると名の挙がった韓国の通信事業者とそれぞれ国際ローミング契約を結んでいる。利用者は手持ちの端末や地域にもよるが、海外で現地の通信網を利用して通信できる。竹島周辺でもこうしたことが可能なのだろうか。

   日本の3社は「そもそもLTEの国際ローミングには対応していない」という。しかし、3Gでローミング利用できる可能性はありそうだ。

   auを展開するKDDI広報によると、「KTさんの基地局でエリア化されているとなれば、ローミング契約を結んでおりますので、特殊な設定などがされていなければ、理論上はつながることはありえますね」という。NTTドコモは「KT、SKテレコムとローミングの契約を結んでいますが、竹島で使えるかどうかは確認しておりません」。また、ソフトバンクは「通常の3Gの基地局ならばつながるかと思う」と話した。

   日本の携帯電話端末をもって島根県の竹島に行っても、つながる可能性があるのは韓国の通信網だけというわけだ。