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亀田の「柿の種」米国で生産開始 アレルギー出にくい「グルテンフリー」で勝負

   米菓大手の亀田製菓は、米国で販売している「亀田の柿の種」を、2013年7月にも「グルテンフリー」として発売する。

   2億~3億円を投じて米国向け「柿の種」の生産ラインを立て直し、健康への意識が高い米国人のニーズにマッチした商品として売り出す。「グルテンフリー」商品は、米国のスーパーマーケットでは専門のコーナーが設けられ、売られているほど市場が急拡大している。

米国の成人消費者の18%がグルテンフリー食品を購入

「グルテンフリー」表示で米国販売を強化(写真は、日本で販売している「亀田の柿の種」)
「グルテンフリー」表示で米国販売を強化(写真は、日本で販売している「亀田の柿の種」)

   「グルテンフリー」は、小麦や大麦、ライ麦などに含まれるたんぱく質の一種である「グルテン」を摂らない食事療法。「グルテン」を摂ることでアレルギー症状やセリアック病、腸疾患などを発症することがあり、それを避ける。

   「グルテン」を使用している食品には、パンやパスタ、シリアル、クラッカーなどがあるが、最近では日本でも自然食品を取り扱っているショップなどで「グルテンフリー」の表示を見かけるようになってきた。

   米国の市場調査、パッケージドファクツ社が2012年8月に実施した消費者調査によると、米国の成人消費者の18%がグルテンフリー食品を購入しており、10年10月の調査(15%)より増加。米国の「グルテンフリー食品・飲料市場」は、12年の42億ドル(見込み)から、17年には66億ドル規模に達すると予測している。

   こうしたことから、小麦などに代わってコメが注目される米国市場は、亀田製菓にとって「追い風」。「柿の種」などの米菓は、小麦やとうもろこしが原料のスナック菓子より低カロリーなこともある。

   亀田製菓は米国市場で、2008年に設立した100%子会社で「亀田の柿の種」(現地では「カメダクリスプス」)を販売する「カメダUSA」のほか、薄焼きクッキー(煎餅)の「THフーズ」と、有機栽培した素材を原料にしたクラッカーを販売する「メアリーズ・ゴーン・クラッカーズ」との3社を展開しているが、このうちカメダUSAの「柿の種」だけが「グルテンフリー」ではなかった。

   亀田製菓は、「グルテンフリー市場が確立されている米国では、表示があるかないかで売り場も変わってきます」と話す。

「味付け」から米国で行いフリー表示が可能に

   現在、米国で販売する「亀田の柿の種」の生産工程は、日本で素焼き、味付けした「柿の種」を米国に輸出して現地でピーナツを配合、包装して販売している。

   しかし、日本での味付けの段階で、うま味調味料など小麦成分を含む商品を同じ工場の生産ラインで取り扱っていることから、米国で売り出す「柿の種」のパッケージには「グルテンフリー」と表示できなかった。

   それを2013年7月にも、「味付けから、現地で行うようにすることで、グルテンフリーの表示を可能にします」という。投資による一時的なコスト増が見込まれるが、市場開拓を進めて販売量を増やすことで吸収できるとみている。

   味付けはこれまで通り。米国の「柿の種」は日本のそれよりも、辛みが際立つ味に仕上げている。現在は1袋(142グラム入り)約3ドルで販売しているが、付加価値を高めることで商品単価の向上も狙う。

   12年秋には米小売大手のウォルマートの一部が取り扱いを始めるなど、販路を開拓しているが、「グルテンフリー 柿の種」の投入で健康志向の強い米国の消費者をさらに取り込んでいく。亀田製菓は、2021年3月期の海外売上高で450億円を目指している。