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「日本人を殺す」重傷者を出した「生野区連続通り魔事件」 ウィキペディアから記事が突然削除されネットで騒ぎに

   韓国籍の男(当時31歳)が「日本人なら何人も殺そうと思った」などと供述したと報じられた「生野区連続通り魔事件」。男は「日本人か?」と聞きまわり包丁で2人の男女に重傷を負わせた忌まわしい事件だが、その記事がネット百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)から突然削除されたとネットで騒ぎになっている。

   「ウィキペディア」の記事が削除される場合は審議、投票など段階を踏むが、いきなりだったため、削除の背景に何があったのか様々な憶測が広がっている。

記事に暴力的または猟奇的な記述が含まれている?

   大阪市生野区新今里で2013年5月22日朝に起こった「生野区連続通り魔事件」は実に奇異な事件だった。報道によれば男は道路やマンション、雑居ビルなどに立ち寄り「日本人か?」などと質問し日本人だと答えると包丁を持って追い掛け回した。逃げ延びた人もいたが2人が包丁で切りつけられるなどして重傷を負った。警察の取調べで男は「生粋の日本人なら何人も殺そうと思いました」と供述しているという。

   産経新聞によると、男は韓国籍で約3年前から精神疾患で入退院を繰返し、逮捕後も意味不明の言動を繰返していたという。読売、朝日、毎日は国籍については報じておらず、いずれも通院歴に触れながら、「府警は責任能力の有無について調べる」としている。東京本社版での記事の扱いは余り目だたず、事件報道につきものの続報は、その後、大手紙からはほとんど出ていない。

   この事件をまとめた記事がネット百科事典「ウィキペディア」にも掲載されたが、それがいきなり13年6月8日に削除された。「ウィキペディア」の場合は記載に誤りがあった場合など、誰でも書き換えることができ正確な表現に近づくため、実際に起こり報道された出来事がいきなり削除されるというのは前代未聞だとネットで騒動になった。削除されるのは変だとして、新たに記事を編集して再度アップしたユーザーもいたのだが、

「このページは即時削除の方針に従い、まもなく削除される予定です。この記事には暴力的または猟奇的な記述・表現が含まれています」

などと「ウィキペディア」に告知が出て削除されてしまった。

   「ウィキペディア」から記事を削除するための手順は、まず管理者に削除依頼を出し、管理者は依頼が正当な理由であるかを判断、その後ユーザーの投票によって削除するかどうかを決める。得票数や賛成反対の割合がどれくらいで削除になるのかははっきりしていない。

再度掲載を求めウィキペディアに記事の復帰を依頼

   なぜ削除することになったのか。削除依頼をした人や削除に賛成の主張が「ウィキペディア」に掲載されていて、そこには、「記事にするほどの特筆性を有していない」「1ヶ月もすれば話題に上らなくなる」「ウィキペディアはニュースサイトではない」「百科事典的な記事に成長する見込みなし」「過剰な関連付けの感が強く、適切な編集とは言い難い」「被疑者の前歴(病歴)を考慮すると、ヘイトクライムと見做せるかは現状では判断できない」などが書かれている。

   これに対して削除反対の意見もあり、

「信頼できる複数の情報源から十分に執筆されておりWikipedia特筆性の基準を十分に満たしている。ケースEによる削除提案は個人的には正気?と思ってしまいました。正気ですか?」
「多数の報道機関で報道された事件については積極的に削除しようとする動きには疑問を感じます」

などが出ているが、記事が削除された時点では削除賛成が5、反対が4だった。ネットでは今回の削除について、

「削除5票、存続4票で、即削除とかありえない。この状況で、削除の対処した管理者がおかしいよ」
「この事件が恐ろしいのは、単に頭がイッてる『無差別通り魔』じゃなくて、日本人を狙った『差別通り魔』だってこと」

などの意見が出ていて、何らかの「黒幕」がいるはずだと様々な憶測が広がっている。ネットでは現在、有志が削除には不審な点がみられるとし、ウィキペディアに対して削除の復帰依頼を出している。