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ナイフで脅した児童叩いた校長に戒告処分 「可哀そう」「厳しすぎる」の声相次ぐ

   クラスメートをナイフで脅した6年男子児童の頭を叩く体罰をしたなどとして、大阪市都島区の市立小学校の校長(62)が戒告処分になったことに対し、市教委などに疑問の声が殺到している。市立桜宮高校の体罰問題を受けて処分を厳しくした、と市教委は説明するが…。

「校長が可哀そう」
「なんで駄目なのか? これは躾の範囲だろうが」
「もう日本の教育はおしまいだ」

自分のくつが隠されたことに腹を立て

   大阪市教委が2013年7月25日付で、校長を戒告の懲戒処分にし、31日付で校長が依願退職したことが報じられると、ネット上では、こんな疑問の声が相次いでいる。

   市教委の教職員人事担当によると、事のてん末は以下の通りだ。

   ナイフの男子児童は5月13日、自分のくつが前日に隠されたことに腹を立て、シューティングナイフを学校に持ち込んだ。このナイフは、大道芸のナイフ投げなどに使われる大きなもので、先の尖ったサバイバルナイフに近い形状をしていた。

   児童は、別の児童から隠したというクラスメートの男子児童を教えられ、休み時間に教室でクラスメートに向き合った。そして、ナイフを見せつけ、尖った先を向けたりもして脅した。くつを隠した児童は分かっておらず、勘違いの可能性もあった。

   これに対し、同じクラスの女子児童がその日のうちに、ナイフで脅す行為があったことを担任に報告した。しかし、担任は、すぐに指導しなかった。そこで、女子児童はこの日、校長にも報告し、校長は、ナイフの児童を別室に呼び出した。児童がナイフを持っているのが分かったので、没収するとともに、同じクラスの仲良しグループ6人もその場にいたことを聞き出した。そして、別室に6人も呼び、ナイフの児童とともに1人ずつ頭を平手で叩いたというのだ。

「桜宮高校の問題を受け、処分を厳しくした」

   ナイフの児童以外も頭を叩いた理由について、校長は、1か月前に7人がそのうち1人を仲間外れにしたことをいじめにつながると叱り、今度何かあったら報告するよう求めていたが、報告しなかったからだと説明した。

   校長の体罰が発覚したのは、4日後に今回とは関係ない同じクラスの児童の保護者が大阪市教委に電話して、自分の子どものことを相談したのがきっかけだった。その中で体罰の話が出て、電話を受けた担当者が校長に確認したところ、7人の頭を叩いたことを認めた。

   市教委では、教員委員とも協議して懲戒処分について検討した。その結果、桜宮高校の問題から体罰を許さない学校づくりを進めている中、指導的立場の校長が行ったことは極めて遺憾で、弁解の余地がないと判断して処分内容を決めた。ナイフの児童だけを叩いたとしても同じことだという。

   校長も、管理職の自分が手を上げたことを反省し、自ら退職を決断したという。市教委では、校長は処分が不服だったわけではないとしている。

   ナイフで脅した児童については、ネット上では、警察に通報すべきだったとの声も出ているが、校長は、通報していなかった。児童の保護者にも厳しく注意し、保護者会でも説明したからだという。市教委でも、学校全体で対応する問題であり、校長の判断は間違っていなかったとした。児童の指導については、その場でなされているとして、特に対応は考えていないとしている。

   しかし、市教委には、「処分が厳しすぎる」といった電話やメールが殺到しており、9割ぐらいが批判的な意見だという。