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「もう女子と呼ばないで!」 an・anの「女子」卒業宣言に拍手喝采

   女性誌で「女子」という言葉が使われるようになって久しい。そのバリエーションは、女子会、女子力、○○女子、××女子部、ママ女子と枚挙に暇がなく、しばしばインターネット上では嘲笑の対象になっている。

   しかし「女子」を率先して喧伝してきた女性誌「an・an」が、ここにきて、「もう『女子』は卒業です!」と蔓延する「女子」に終止符を打った。

アラサーの半数が「女子と呼ばれることに不満」?

もう「女子」は卒業?(「an・an」1871号表紙)
もう「女子」は卒業?(「an・an」1871号表紙)

   2013年9月4日発売の「an・an」1871号の表紙には、大人の女性ならではの上品な微笑をたたえる女優・篠原涼子さんの写真、その上には存在感のある「大人の女性になるために、今すべきこと」の一文が掲げられている。

   誌面ではアラサー(30代前後)の女性を対象にしたアンケート結果が紹介されており、「女子と呼ばれることに抵抗はありますか?」という質問には、47%が「ある」と回答。実は約半数が「女子」と呼ばれることに疲れているというのだ。「女子と言っていいのは何歳までですか?」では平均28.7歳となり、「女子」は30歳手前で卒業するのが無難とした。

   同誌では、もともとはポジティブな意味合いだったはずの「女子」が、いつのまにか大人になりきれない、なりたくない人たちに都合よく使われていると分析。「女子」を言い訳に、自分を甘やかす自己中な人たちを「コドモ女子」と名付け、自分にも他人にも気を使える大人の女性へのステップアップを促す。内容も、コドモ女子テストや、男性陣からのコドモ女子に対する不満、失敗・ピンチへの向き合い方など多彩で、あぐらをかいている「女子」たちを教え導いている。

   この思い切った方向転換に、インターネット上では「今まで散々 女子って流行らせておいてなあ...」という声はあるものの、「おお、脱女子に舵を切るのか」「なんだか嬉しいしすっごく同意」「攻めてるなあ~」「見直した。幼児退行は現代を生きる女性を絶対に救わない」など、評価する声が多数あがっている。

女性誌では依然「女子」のオンパレード

   「女子」に違和感を持っていた人から歓迎された最新号「an・an」だが、女性誌では依然「女子」のオンパレードだ。「an・an」のアンケートが示した、平均28.7歳という「女子年齢」をゆうに超える40代向けの女性ファッション誌でも使われている。

   2010年に創刊した「GLOW」は、コンセプトに「ツヤっと輝く、40代女子力」を掲げる。同誌の大平洋子編集長は東洋経済のインタビュー(7月3日)に対し、「40代女子」という言葉について次のように語っている。

「共感の声が多かったですが、『いい歳して、女子なんて、無理してる』とか、『ありえない、みっともない!』とか、当然、否定的な意見もありました。これは、私からすると、ちょっと面白い現象でした。皆さん『女子』という言葉について、いろいろな思いがあるんだな、と。こちら『女子』という言葉に、『女の子でいたい』『かわいく見られたい』という願望を込めたつもりはなかったものですから。『大人のいい女』とか、『ご婦人』とかよりは、『女子』がしっくりきたんです」

   同誌は創刊以来40代女性誌No.1となっており、出版不況の中でも売り上げは好調だという。世の中に「アンチ『女子』」は少なくないが、同誌の売り上げが示すとおり、「女子」という言葉が、一定数の女性の心に響いていることも確かなようだ。

   ちなみに「GLOW」10月号のタイトルは「40代女子が輝く!『華やかベーシック』」。表紙には、黒一色のモードな着こなしが映える「大人女子」代表のYOUさんが笑顔で映っている。