J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

韓国「日本産水産物締め出せ!」の裏側は 「反日」で人気取り、存在アピールが続く

「日本産水産物は、全面的に輸入禁止にすべきである」

   2013年9月19日、こう報告したのは、韓国の国会立法調査所だ。

   韓国では現在、福島など8県の水産物を輸入禁止にしている。現在、日本側は撤回を求めて交渉を進める真っ最中だが、この報告はその動きを拡大させようとしているかのようだ。その真意はどこにあるのか。

日本側の説得からわずか3日

   韓国では東京電力福島第1原発での汚染水漏れが発覚して以降、水産物への影響の懸念から、国中がパニックに陥っている。とはいえ日本産水産物に対しては、元々日本側が厳しい検査を行っていたこともあり、韓国政府も「科学的に安全が証明されている」と国民を説得していた。しかし、拡大する不安を政府としても抑えきれず、結局9日以降、福島を始め東北・関東8県の水産物輸入を全面的に禁止する措置に出た。

   日本側は16日に農林水産省幹部を派遣、「非科学的」な禁輸を解くよう説得を続けてきた。しかし立法調査所は19日、8県の禁輸決定後も国民の不安は取り除かれていないとして、

「日本産水産物への信頼が取り戻されるか、日本の汚染が回復するまで、政府は全面的な輸入禁止を考慮すべき」

とする報告書を発表した。

   韓国の禁止措置をめぐっては、日本国内では「日本のイメージをダウンさせ、東京五輪招致を妨害しようという陰謀ではないか」という説も報じられた。また前述の日本側の抗議に対しても、特に「WTOへの提訴も辞さない」との姿勢を示したことなどに韓国は猛反発、野党議員などが公然と「全面輸入禁止」を主張している。

   立法調査所の報告も、こうした日本攻撃の一環なのだろうか。

「裏道」だらけのお国柄が混乱拡大、韓国メディアからも批判の声

   かつて時事通信でソウル特派員を務めた評論家・室谷克実さんはしかし、今回は「韓国の国内事情によるもの」と見る。

   というのも韓国では報告書にあるとおり、8県産水産物の禁輸以降も、国民のパニックがまったく払拭されていない。普通なら「不安の種」を取り除いたのだから多少落ち着きそうなものだが、

「あの国では、いくら国が規制をかけても『裏道』がある。そういう国情だから、国民も『安全だ』といわれても信じない」(室谷さん)

   19日、韓国KBSのニュース番組では、市場で行われた水産物の産地調査の模様が紹介された。驚いたことに、カメラの前で「産地偽装」が続々と暴かれていく。「肝心の」日本産は見つからなかったものの、偽装がかなり横行していることがうかがえる。「反日」どころではなく、こうした混乱収拾のほうが現在は急務らしい。

   室谷さんによれば、そもそも今回の報告を出した立法調査所は、国内では非常に影が薄い。そのため自分の存在をアピールしようと年に1~2回、こうした意見を打ち出すことがあるという。ただし、「19日といえば、韓国では『秋夕(日本でいうお盆に近い)』の真ん中で、新聞も休み。連休が明けるころには、みんな忘れてるのでは?」とのことで、現実的な影響力はあまりなさそうだ。

   とすれば日本は、国内向けのアピールの「ダシ」にされた格好になる。韓国メディア「デイリー・アン」も19日、「人気取りのために『反日』を口にする韓国政治家たち」という批判記事を掲載しているが、日本にはたまったものではない話だ。