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朝日新聞社旗を掲げると逮捕? 海上自衛隊の寄航は? 韓国「旭日旗法案」、日本にどんな影響があるのか

   韓国の国会で旭日旗を掲げれば刑罰が科せられるとする刑法改正案が提出され、通ればどんな影響があるのかとネット上で様々な憶測が出ている。例えば、朝日新聞の社旗でも罪に問われるのかといったことだ。

   旭日旗を巡っては、ここ1、2年、韓国人が海外で問題にするケースが増えている。2013年7月28日のサッカー東アジア杯・日韓戦では、日本の観客席に旭日旗が掲げられたのを口実に、韓国側が政治的な横断幕を掲げる事態にもなった。

「日本人は、韓国なんて行かないことだな」

   こうした動きを受けて、韓国与党セヌリ党などの与野党議員10人が9月26日までに、問題の法案を法制司法委員会に上程したことが報道で明るみに出た。

   それによると、旭日旗を念頭に、日本の軍国主義を象徴する旗や服、マークなどを韓国内で作って配布したり、人が集まる公共の場所で使ったりする場合を刑罰の対象にする。もしそのような行為をすれば、1年以下の懲役か300万ウォン(約28万円)以下の罰金が科せられるというのだ。

   セヌリ党の孫仁春(ソン・インチュン)議員は、提案理由として、罰則化によって国際社会の認識を変えてもらうことなどを挙げている。日本では、サポーターなどが旭日旗を持って応援することを止めさせるのが目的と報じられた。韓国では、反日でないことはタブーともされるため、共同通信などは、法案が可決され成立する可能性があると指摘している。

   韓国では、旭日旗禁止は当然で、刑罰は軽すぎるぐらいだといった声が多数を占めているようだ。一方、日本のネット上では、法案提出に対して、冷ややかな見方をする向きが多い。

   書き込みを見ると、「韓国ってこれでも法治国家なの?」「日本人は、韓国なんて行かないことだな」とあきれる声が上がっていた。むしろ韓国人が負担を負うことになるとして、「反日をダシにした思想統制&検閲。韓国の国民は気付いているのだろうか?」といった指摘もあった。

朝日「論評することは差し控えます」

   一方で、旭日旗に似たデザインは、日本でいくつもあるだけに、広く影響が出るのではないかとの声は根強い。

   ネット上で特に話題になっているのが、朝日新聞社の社旗だ。「旗掲げたら、どうなるんだろ」「朝日新聞どうすんだ?」といった声が多いのだ。

   朝日の広報部によると、もともとの社章は、「水平線上に半体をあらわして光を放つ赤い旭日の中に『朝』の字を白抜きにした図柄」だという。それで旭日旗に酷似しているわけだが、広報部では、「おたずねの件に限らず、諸外国の個々の立法過程について、当社の紙面などで報じる以外に論評することは差し控えます」とだけコメントした。

   旭日旗法案が影響するかについては、置かれた状況によっても違うようだ。

   艦船に旭日旗を掲げている海上自衛隊では、2012年に日韓親善のイベントで韓国に入港したことがあるとして、「法律が通れば、もしかしたら今後検討が必要かもしれない」(広報室)と明かした。船上は、基本的に治外法権になるとしながらも、韓国の国内法なら尊重しないといけない可能性があるからだという。

   また、日本の漁船は、旭日旗を元にしたようなデザインの大漁旗を掲げているが、水産庁の漁業調整課では、その影響はあまりないとの見通しを示した。

「漁業協定水域の韓国・済州島周辺で漁をすることはありますが、漁船が韓国に入港することはまずありません。大漁旗も日本に帰港するときだけ掲げているはずです。交流行事でも、大漁旗を韓国で掲げるケースは聞いたことがありませんね」

   旭日旗に似たロゴを「あけぼの食品」に使っているマルハニチロホールディングスでは、大きな影響はないとみて、静観していることを明らかにした。

「問屋を通じて間接的に韓国に出回っていることはあるかもしれませんが、直接輸出はしていません。問題が起きるとは考えておらず、ロゴを変えるといった議論はしていないですね」