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みずほ銀行、暴力団員と取引230件・2億円 断ち切れない反社会的勢力との関係

   みずほ銀行が暴力団員ら反社会的勢力と知りながら、230件・2億円超もの融資を実行していたことがわかった。しかも、取引実態を把握していながら担当役員らが2年以上も事実上放置していた。

   金融庁は2013年9月27日、みずほ銀行に銀行法に基づく業務改善命令を出した。みずほ銀行は「深く反省し、心からお詫び申し上げます。内部管理態勢の一層の強化・充実に取り組んでいきます」とコメント。しかし、反社会的勢力との関係が切れていなかったことで、信用が大きく揺らぐことは避けられそうにない。

「提携ローン」で銀行の審査は甘く…

みずほ銀行は、まだ反社会的勢力との関係を断ち切れていないのか(写真は、みずほ銀行のホームページ)
みずほ銀行は、まだ反社会的勢力との関係を断ち切れていないのか(写真は、みずほ銀行のホームページ)

   不正取引のきっかけとなった「提携ローン」は、自動車ディーラーを窓口にして、クルマを買ったお客に対して信販会社のオリエントコーポレーションなどが審査・保証して、みずほ銀行が融資する仕組みで、取引件数は230件、融資は2億円超にのぼった。

   こうした信販会社やクレジットカード会社などとの提携ローンは他の銀行も手がけており、みずほ銀行が特別なわけではない。

   一般に、銀行は金額が少なく手間がかかったり、リスクが大きかったりする融資を避けたい。そのため、自動車ローンや消費者ローンなどの審査・保証をノンバンクや保証会社に委ねるケースが多い。

   銀行にとっては、融資が焦げついてもノンバンクなどがリスクを肩代わりしてくれるメリットがある。

   半面、銀行での融資審査が甘くなる可能性がある。自動車ローンでは、契約は銀行とクルマを購入するお客が結ぶが、銀行の審査は契約後で、契約前の審査は信販会社などが行う。みずほ銀行の場合、銀行が審査を疎かにしたと考えられる。

   なぜか――。オリコがみずほフィナンシャルグループの持ち分法適用関連会社で、しかも旧第一勧銀出身者が社長を務める、いわば身内のようなものだからだ。

   金融庁は銀行に対する監督指針などで、「提携ローン」の融資先で問題があることがわかれば、信販会社などに対して返済を求めるなど取引を解消する必要がある。

   みずほ銀行は2010年12月の時点で今回の不正取引があることを把握していた。ところが、次回から承諾しないよう信販会社に求めただけで、契約解消までは至らなかったとされる。

みずほ銀行、揺らぐ信頼「反社会的勢力に甘い」?

   外資系金融機関での勤務経験のある経済アナリストの小田切尚登氏は、銀行は金融緩和による「カネ余り」で、「ここ数年来、融資へのプレッシャーが、かなり強くかかっています。その分、営業の声が強くなっています」と、銀行が置かれている環境を斟酌する。

   とはいえ、「銀行はすべての融資において、きちんと審査するのが筋。提携ローンだから審査が甘くなりました、では通用しません。カネ余りでコンプライアンスが緩んでは、銀行とはいえません」。

   金融庁が重くみたのは、問題となった取引の情報が経営トップに伝わらずに、2年間も放置されていたことだ。しかも、情報を止めていたのがコンプライアンスの担当役員だった。

   前出の小田切氏は、「コンプライアンスは経営において最も大事なこと。コンプライアンスは銀行を殺しますよ。組織としてもトップ直属の部署ですから、これが機能していないというのは組織としてもうダメです」と呆れぎみだ。