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高速道路、下り右カーブ、追い越し車線停車の最悪状況 桜塚やっくん、どうすれば事故回避できたのか

   「スケバン恐子」のキャラクターで人気を集めたお笑いタレントの桜塚やっくんが、中国自動車道で事故に遭い、亡くなった。

   やっくんが乗っていたワゴン車は単独で中央分離帯のガードレールに衝突して追い越し車線に止まったが、やっくんと同乗のマネージャーが路上に降りたところを、それぞれ別の後続車にはねられた。こんな状況下で、命を落とさないで済む方法はあったのか。

後続車にひかれて亡くなった人は41人

高速道路の追い越し車線での事故は対処方法も難しい…
高速道路の追い越し車線での事故は対処方法も難しい…

   高速道路で事故を起こした場合、止まって警察やレッカー車などの到着を待つのが一般的だ。しかし、必ずしもそれが安全とは言えない。追突される場合も少なくない。車外に出て後続車にひかれることもある。桜塚やっくん(本名・斉藤恭央さん、37)の場合も、安全を確保するのは簡単ではなかったようだ。

   山口県警によると、事故が起こったのは2013年10月5日午後4時50分ごろ。山口県美祢市東厚保町の中国自動車道下り線で、やっくんが運転するワゴン車が中央分離帯のガードレールに衝突。ワゴン車は追い越し車線で止まったが、マネージャーの砂守孝多郎さん(55)が車外に出て、携帯電話で警察に通報していた際に後続のトラックにはねられ死亡。そのあと、車外から路上に降りて後続車を止めようとしたやっくんも乗用車にはねられ心肺停止状態に陥った。

   やっくんは美祢市立病院に救急搬送されたが、同日午後6時16分、心臓破裂のため死亡。ワゴン車に同乗していたバンドメンバーの、残る3人のうち2人は軽傷を負った。

   事故現場は、美祢インターチェンジ(IC)~美祢西IC間、伊佐パーキングエリアを2キロほど過ぎたところ、丘を登り切った地点で訪れる半径360メートル、下り勾配5%の右カーブ。地元でも「魔のカーブ」といわれるほど、事故が多発しているところで中央分離帯には無数の傷痕が残っているという。

   近年、やっくんのように、高速道路上でクルマにはねられる事故が増えている。警察庁によると、高速道路で2012年の1年間に発生した196件の死亡事故のうち、故障や事故のため高速道路上でクルマを降りた後に後続車にひかれて亡くなった人は41人にのぼる。

「車外の安全なところで待つのが基本」

   自動車連盟(JAF)の「クルマ何でも質問箱」によると、高速道路での事故対応は、一般に(1)ハザードランプを点けて路肩にクルマを寄せる(2)燃料漏れがないことを確認のうえ発炎筒を炊き、三角停止表示板をクルマの50メートルほど後ろに置く(3)ガードレールの外側に避難して、非常電話か携帯電話で通報する――のが手順。

   しかし、カーブなどでは、後続車は前を走るクルマは見えづらい。また、中央分離帯近くの追い越し車線で事故を起こした場合は、3車線の道路だと路肩まで約7メートルの距離があるので、車外に出ることは危険きわまりない。

   そうなると発炎筒を炊いたり、三角停止表示板を置いたりすることさえ、危険な行為といえなくもない。

   インターネット上では路肩に避難するのが危険な場合は、車内から出ずにクルマの後方に向けて窓から発炎筒を投げて車内で待機する。また後続車に知らせるため、クラクションを鳴らし続けるなどの対処方法があげられていたが、日本自動車連盟(JAF)は「とにかく、車外の安全なところで待つようにすることが基本です」というが、対応の具体策となると超難問のようだ。