J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

吸引は覚せい剤でなく「アンナカ」? チャゲアスASKA、週刊文春に薬事法違反認める

   「深刻な薬物中毒」などと報じられていた音楽ユニット「CHAGE and ASKA(チャゲアス)」のASKAさん(55)が週刊文春のインタビューに応じ、報道を一部認めた。

   報道が出てから所属事務所が「報道の内容は事実に反している」、ASKAさん本人も「事実無根」とコメントしていたが、一転「事実も含まれていた」ことが明らかになった。ASKAさんの突然の告白に所属事務所も動揺しているようだ。

「アンナカ」は劇薬指定医薬品だった

   ASKAさんのインタビューを掲載したのは、週刊文春の2013年10月17日号だ。何と、ASKAさんから記者の携帯電話に直接「ASKAです!男と男の話し合いを一度しませんか。いつでもいいですよ」と連絡があったというのだ。

   週刊文春は13年8月8日号で、ASKAさんが深刻な薬物中毒で、同級生だった暴力団関係者と覚せい剤の取り引きをめぐってトラブルになり、怒った関係者が隠しカメラを仕込んで取り引き現場を盗撮、ASKAさんをゆすろうとしたが上手く行かず、盗撮ビデオが流出したなどと報じていたが、ASKAさんは「文春さんは騙されてる」として、記事の内容について詳細に語った。

   まず、「同級生だった暴力団関係者」の山本(仮名)という男とは12年1月に出会った。「東京で音楽事務所をやっている」と言われ、暴力団関係者と知らず交流するようになったと話す。

   ASKAさんが吸引したのは覚せい剤ではなく「安息香酸ナトリウムカフェイン」、通称「アンナカ」という薬だという。

   この「アンナカ」は倦怠感や眠気、頭痛に効果のある薬で、大量に服用すると耳鳴りや不眠、吐き気、体の震えといった副作用が起こる。カフェイン含有量の多さから劇薬に指定され、薬事法では「譲渡の制限(法で定められた手続きが必要)」「他の物と区別して貯蔵し、陳列する義務」などが定められている。禁止薬物ではないが、取り扱いには十分注意しなければならないものだ。

   馬用に調合されたものは興奮剤として使用され、覚せい剤に混ぜられることもあるらしい。

「アンナカなら手に入る」と言ってプレゼント

   ASKAさんは歌詞を書く時などに眠気覚ましで使用するため、00年頃から病院で処方してもらっていた。しかし処方量が少ない上、規定量を超えて使用していたためすぐなくなってしまう。病院に通うのも面倒と思っていたところ、山本が「アンナカなら手に入る」と言ってプレゼントしてくれるようになったというのだ。ASKAさんは「これが僕の認める唯一の汚点で、薬事法違反ですよね。そこに関しては認めます」と話す。

   しかしある時山本が暴力団関係者と判明して「悪いけど、付き合えない」と交流を断とうとした。「それが彼には面白くなかったんでしょうね」とASKAさんは振り返る。

   13年1月には山本がASKAさん宅に「これでアンナカを吸ったら少量で済む」と言ってガラスパイプを持参、「せっかく持ってきてくれたのに断るのはアレだった」というASKAさんはアンナカの粉末を入れて炙って吸った。その様子が隠し撮りされ、DVDをネタに「金を貸してくれ」と頼まれたという。それが8月に報じられた「盗撮ビデオ流出騒動」につながったというのだ。

   8月の報道にあった「CHAGEさんを殴りつけた」「バカ、Aさん(山口組系暴力団幹部)に言うからな、などと山本にメールを送った」については否定。山本を刑事告訴しなかったのは「お金を貸してくれと言われただけなので、恐喝だとは思ってない。山本は憎めない、悪い奴には思えない」からだとする。また、週刊文春を訴えなかったのは「時間と労力をかけて勝っても100万、200万支払われて小さい記事が載るだけ。それなら音楽作りに時間をかける」と説明した。

   「一過性脳虚血症」については血圧も落ち着き、病院の薬も飲んでいない。順調に曲を作り出している状態という。最後は記者に発表前の自信作を聞かせてご満悦だったようだ。

所属事務所「インタビュー記事は一切関知していない」

   8月に報道が出た直後、所属事務所「ロックダムアーティスツ(ロックダム)」はチャゲアスの公式サイトを通じ「報道の内容は事実に反しており、大変遺憾です。弊社としてはこれらの報道に対し、厳重に抗議いたします」とコメントした。

   ASKAさん自身も9月27日、公式サイトで「違法なことは一切やっていませんし、あのような言動、行動に関しましても、一切ありません」「今回の記事にあるような依存性の症状などがないことは、前回のコンサートに参加して下さった皆さんには、はっきりと証明できていると思っています。それだけに今回の記事が事実無根であることは、皆さんが一番理解してくれていると僕は信じています」などとするコメントを発表していた。

   しかし今回のASKAさんのインタビューによれば、アンナカをガラスパイプで吸引したことやそれをビデオで撮られていたこと、アンナカに依存している状態だったことは事実で、薬事法にも違反していた。コメントに反して「報道の一部は事実だった」ということになる。

   ロックダムは10月9日、「この度、週刊文春10月17日号に掲載されたASKAのインタビュー記事について、弊社は一切関知しておりません。現在、事実関係を確認中ですが、ファンの皆さま、また関係者の皆さまには多大なるご心配とご迷惑をおかけしますこと、深くお詫び申し上げます」とのコメントを発表している。