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楽天優勝パレード、資金難で「困った」 目標額に5300万円も足りない理由

   球団創設以来初の日本一を勝ち取った楽天ゴールデンイーグルスが予定している優勝パレードが、資金難に悩まされている。パレードは企業や市民からの協賛金を元手に行われるが、目標額に5300万円も足りていない状態だ。

   パレード全体では約1億5400万円かかる見通しだが、その多くが警備費用だ。パレードを主催する実行委員会は「削れない費用なので…」と頭を悩ませている。

パレードには球団への「ファンからの感謝の気持ち」込める

優勝パレード実行委員会のウェブサイト。個人協賛1口3000円で記念品がもらえる
優勝パレード実行委員会のウェブサイト。個人協賛1口3000円で記念品がもらえる

   パレードが行われるのは2013年11月24日で、4日後に迫っている。星野仙一監督、三木谷浩史オーナー、1・2軍の全選手らがオープンカーやバス計5台に分乗し、仙台駅の西側にある「東二番丁通」を1.5キロにわたって30分かけてパレードする。「マー君」こと田中将大選手の人気もあり、沿道には約20万人の来場を見込んでいる。

   過去に他球団が行った優勝パレードでは、球団が費用を負担するケースもあるが、地元自治体や企業などでつくる「実行委員会」が主催し、企業や個人から協賛を集める形式で行われることの方が多いようだ。今回の楽天のパレードは「被災地を元気づけた楽天球団に対するファンからの感謝の気持ちを込めた」という位置づけで、やはり協賛金で費用をまかなうことになった。実行委員会は、地元企業や自治体でつくる「楽天イーグルス・マイチーム協議会」、仙台商工会議所、宮城県、仙台市、河北新報社などで構成されている。

警備員1000人以上を動員

   パレードにかかる費用は1億5400万円を見込んでおり、そのうち6280万円を企業から、9120万円を個人から集めることにしている。企業からは予定通り集まっているが、個人からの協賛金は11月19日時点で3800万円。まだ5300万円も足らない。

   気になるのが多額の費用の内訳だ。最も多いのが警備費で7550万円。全体の半分近くを占めている。パレードを円滑に行うためには、沿道につめかけた人が車道に飛び出さないようにコントロールして安全を確保する必要があり、実行委員会では「削れない費用」だと話している。具体的には、警備員だけで1000人以上を動員し、それ以外にも案内・誘導係が多数必要になる見通し。警備以外にも、車両や音響関係で3900万円かかる。

   実行委員会では引き続き個人協賛を受け付けており、仙台銀行、七十七銀行など地元の4金融機関から振り込んだ場合、11月29日までは振り込み手数料が無料になる。1口3000円で、優勝記念のオリジナルピンバッジがもらえる。

   仮に11月24日までに残り5300万円が集まらなかったとしても、天候に問題がなければパレードは予定通り行われる。かかった費用を実行委員会が一度立て替える形だが、パレード終了後も引き続き協賛を受け付ける。それでも足らない場合の対応については、今後検討するとしている。

「花火の事件」きっかけに警備費用が高騰?

   この資金難には、他球団からも同情の声が出ている。

   福岡ソフトバンクホークスは、ダイエー時代を含めると、ここ10年では03年、10年、11年の3回にわたって福岡市中心部のメインストリート「明治通り」でパレードを行っている。ホークスのツイッター公式アカウントは、

「パレードは、はっきり言ってめっちゃお金がかかります。主に警備費用。花火の事件以降、それこそ1mおきに警備を立てないと、警察の許可が出ないこともあります。この辺、予想外だったでしょうね・・・。2010年のとき、7年前の予算では全然足りなくてめっちゃビビリました・・・」
「皆さんと福岡の企業さんの募金とボランティアさんのおかげで助かりました・・・」

と、過去のパレードを振り返った。「花火の事件」は01年に兵庫県明石市の歩道橋で起きた事故のことを指すとみられる。この事故では、子ども9人を含む11人が死亡し、兵庫県警の現場責任者ら5人の有罪が確定している。