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「学校でうんちできない」問題、いまだ改善せず 最近の調査でも過半数が「嫌だ」と回答

   個室に入ったらのぞかれる、変なあだ名を付けてからかわれる…こんな理由から、子供の頃「学校のトイレで排便しないようにしていた」という人も多いのではないだろうか。

   時代が進んでも、変わらない子供のお悩みもあるようだ。「学校で排便したくない」という子供が53%にのぼることが、最近の調査結果で明らかになった。

「発見されたら放水、モップで突っつき」「職員用トイレに行ってた」経験談も

学校のトイレは排便向きじゃない?(写真はイメージ)
学校のトイレは排便向きじゃない?(写真はイメージ)

   調査を行ったのは、住宅設備メーカーのLIXIL(リクシル)だ。2013年7月26日から28日まで、小学校1年生~高校3年生まで各学年の男女各52人、計1248人(高校生未満は保護者の代理回答)を対象に、インターネットを利用して実施。結果を11月19日に発表した。

   「学校で"ウンチ"をするか」という質問に対し、「特にガマンせず、したい時にする」と答えたのが47%、「どうしてもガマンできない時だけする」が44%、「絶対にしない」が9%で、53%の子供達が学校で排便できない傾向にあることがわかった。

   学校で排便したくない理由(複数回答)は「他人に知られたくないから」が50%で最も多く、「落ち着かないから」(46%)、「休み時間が短いから」(31%)、「(便後の)臭気・においが気になるから」(27%)、「トイレが汚いから(床など)」(22%)と続いた。

   この調査結果はネット上で話題になっているが、「昭和の時代は学校で排便する児童なんて1割くらいしか居なかった気がする」「むしろここまで減ったのかと驚きだ」など、「意外と少ない」という意見が多く見られる。

   「トイレでうんこしただけで、次の日からうんこタレと呼ばれてたなぁ」「学校で大便はタブーだった 発見されたら個室へ放水したあと下からモップで突っつき 引きずりだされる感じかな」「そう言えば職員用のトイレに行ってたな」など、経験談も書き込まれた。

小学校の学習指導要領に「排泄」の文字がない

   古くからある「学校で排便できない問題」、改善の糸口はどこにあるのだろうか。子供にトイレや排便の大切さを伝える活動を展開しているNPO法人「日本トイレ研究所」代表理事の加藤篤さんに話を聞いた。

   まず、こうした調査のデータベースがなく、過去の数字と比較できない点が課題だとした上で、「意外と少ない」と見られている「53%」の数字については、「大きな課題。半数以上という現実を深刻に受け止めないと」と指摘する。

   排便は生理現象で、我慢すると食欲がなくなる、集中力がなくなる、体調が悪くなる、生活リズムが乱れる、便秘気味の子供は悪化するなど、良くないことだらけだ。

   それなのに「学校でできない」子供が多い根底には、小学校の学習指導要領に「排泄」の文字がないという問題がある。子供が社会生活を踏み出す第一歩の所で、排泄のメカニズムやなぜそれが大切なのか、ルールやマナーなどの教育がされていない。その結果、「排便=嫌な物」という文化だけが形成されているのが現状だという。小学校で培われたそのイメージが成長しても残ってしまうことで、中学、高校に進んでもできない子供が減らないのでは、と見ている。

   また、家や外出先のトイレがどんどん綺麗になっていく中で、特に公立の小中学校のトイレは古く、暗い、臭い、汚いというイメージが強い。空間へのマイナスイメージも手伝って、ますます学校のトイレが嫌だという気持ちになってしまうとのことだ。

   特に男子は小便器と個室が分かれているため、個室に入ることで排便することがばれてしまうのを嫌う子供も多い。「全部個室にすべき」との声もあるが、それに対しては「排便が嫌な物として、見えないように覆い隠そうという考えになってしまう」と懸念している。

   排泄についての教育に力を入れていくこと、落ち着けるようなトイレの空間を作っていくことが、子供にとって重要なことだと語っていた。