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ケネディ氏「イルカ漁は非人道的」に反発の声 安倍首相Facebookにも飛び火、盛り上がる

   日本の捕鯨について、欧米からはしばしば「野蛮で恐ろしい」「海を血で赤く染める残虐な行為」などと批判される。その度に日本では「外国人が日本の文化に口出しをするな」と、反発の声が上がってきた。

   そんな中、駐日米国大使のキャロライン・ケネディ氏(56)がツイッターで「米国政府はイルカ漁に反対する」と投稿した。日本のネットユーザーからはやはり反対意見が寄せられたが、このリプライが「意図的に表示されないようになっているのでは」と、物議を醸している。

シーシェパード追い込み漁批判強める

キャロライン・ケネディ氏のツイート
キャロライン・ケネディ氏のツイート

   和歌山・太地町では1970年代から「イルカ追い込み漁」を行っている。これはボートと漁網で大海への抜け道をふさぎ、イルカを入り江や浜辺に追い込んで捕獲するという漁法で、食用にしたり水族館のイルカショーに出したりしている。2014年1月17日には追い込み漁で白いバンドウイルカが捕獲され、太地町立くじらの博物館に移された。

   この漁は米国で2009年に公開されたドキュメンタリー映画「ザ・コーヴ」をはじめ、度々反対派から批判的に取り上げられている。環境保護団体「シーシェパード」は、太地町での漁の様子を隠し撮りしたとみられる映像を継続的に配信していて、14年1月に入ってからはツイッターで批判を強めている。

   シーシェパードの論調を受けてか、ケネディ氏は1月18日、唐突に以下のツイートを連投した。

「米国政府はイルカの追い込み漁に反対します。イルカが殺される追い込み漁の非人道性について深く懸念しています。」
「Deeply concerned by inhumaneness of drive hunt dolphin killing. USG opposes drive hunt fisheries.」

ケネディ氏の英語ツイートには賛同意見ばかり?

   ケネディ氏のツイートに対して、海外のネットユーザーからは「この声明を出してくれてありがとうございます」「ケネディ氏の立場でこのように言ってもらえるととても心強いです」「クジラはあなたの声を必要としています!」など、賛同の意見が寄せられたが、日本のネットユーザーは「牛や豚、魚を殺すことは冷酷ではないんですか?」「私はクジラを食べませんが、他国の文化は尊重すべきです」など、怒りのリプライを寄せた。

   14年1月19日、米CNNの日本語版サイトで、「ツイッター上では、ケネディ大使の発言に賛同する意見が相次いでいる」と報じられた。日本人は「反対意見を無視している!」と怒ったが、無視されているどころか「意図的に反対ツイートを表示しないようにしている」疑惑が浮上した。

   ケネディ氏の英語のツイートの個別ページを開くと、このツイートに寄せられたリプライが一覧表示されるのだが、ケネディ氏の意見に賛同する海外のツイートしか表示されていないのだ。反対意見のリプライは削除されていないのに、なぜかそのページには表示されていない。

   CNNの報道もあり、日本人からは「都合の悪い意見が隠されている」「言論統制されている」など批判の声が上がった。ただ、ケネディ氏の日本語ツイートの個別ページには日本人からの反対意見も表示されていて、真相はよくわからない。

   さらに、議論はなぜか安倍晋三首相のFacebookにも飛び火した。「モザンビークを訪問している」という全く捕鯨と関係のない投稿のコメント欄に、国内外から「太地での野蛮な殺りくをやめてください」「日本の捕鯨にはうんざり!」「菜食主義者以外はこの問題に抗議するなよ」「日本に対してだけ延々とクレームする姿勢がアンフェアとしか思えない。アンフェアな行為に、日本人は怒っているのです」などの意見が書き込まれている。1月19日17時の時点で3700件を超えるコメントが寄せられる盛り上がりぶりだ。