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小保方騒動でにわかに注目集める 論文自動作成ソフト「SCIgen」とは

   新型万能細胞「STAP細胞」の論文に不備な点が見つかった問題がまだまだ尾を引く中、マサチューセッツ工科大学(MIT)の学生が作ったソフトが注目を集めている。

   「全くデタラメな論文を自動生成する」という「トンデモソフト」なのだが、これで作った論文が審査をすり抜け、国際会議や学会誌に受理されたこともあるというから驚きだ。

Springer、IEEEにも「デタラメ論文」掲載

「SCIgen」ウェブサイトから作ってみた論文の一部
「SCIgen」ウェブサイトから作ってみた論文の一部

   話題のソフトは「SCIgen(サイジェン)」という。無作為に選んだコンピューター工学用語をちりばめ、一見それらしい論文をワンクリックで作成するというものだ。

   元々は学会やシンポジウムなどの「いい加減さ」を証明するために作られ、これで作成した「デタラメ論文」を「WMSCI 2005」というコンファレンスに提出したら受理されてしまったということで、2005年4月頃に研究者やプログラマーなどの間で話題になっていた。

   サイジェンのウェブサイトでは、著者の名前を5人まで入力して「Generate」ボタンを押すだけで、適当な論文のでっち上げが体験できる。記者が試しにやってみたところ、「Deconstructing Spreadsheets with PAWNER」という、難しい単語だらけで一見ちゃんとしていそうだが、読んでみるとよく意味のわからない論文ができた。図表や引用もそれらしく出来上がっているのがさすがだ。

   14年2月には、国際的な学会誌「Springer(シュプリンガー)」や「IEEE(アイトリプルイー)」に、サイジェンで作られた「デタラメ論文」が120本以上も掲載されていたと、「STAP細胞」論文を掲載した英ネイチャーが報じていた。

「こんなんで簡単にすり抜けて掲載されるって…」

   この「サイジェン」は、「STAP細胞論文」問題に関連して、14年3月16日放送の「報道2001」(フジテレビ系)でも「とんでもない不正論文プログラム」として紹介された。

   ネット上では視聴者から「SCIgenって初めて知ったけどヤバイなこれ」「こんなんで簡単にすり抜けて掲載されるって、そっちの方が問題あるんじゃないの?」といった声が上がり、ソフトの存在やデタラメな論文でも審査をすり抜けてしまうことに驚いた人が多かったようだ。

   一方で、東京大学 医科学研究所の上昌広特任教授は、「査読は難しい。意図を持って一部の人がバレないようにやるわけなので、見たらわからないですよね」と、「デタラメ論文」を見抜くことの難しさを番組に語っていた。