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ドコモ新サービス「地域ニュース」の狙い 地方発「日本を元気にする」話題を全国に

   NTTドコモでは2014年1月から、スマートフォン向けポータルサイト「dメニュー」に「地域ニュース」という枠を設けている。地方紙などから提供を受けたローカルなニュースを、都道府県別に閲覧できるというものだ。

   近年、国内外で「地域」にフォーカスしたローカル性の強い情報、いわゆる「地域情報」に注目する動きが相次いでいる。NTTドコモは、この「地域ニュース」で何を目指すのか。サービスを手掛ける同社コンテンツビジネス推進部の秋元秀幸・ポータルサービス担当部長、中島恵祐・ポータルサービス 第一ポータル推進担当課長に話を聞いた。

既存のネットニュースとは違った人気記事が

NTTドコモコンテンツビジネス推進部の秋元秀幸・ポータルサービス担当部長(右)、中島恵祐・ポータルサービス 第一ポータル推進担当課長(左)
NTTドコモコンテンツビジネス推進部の秋元秀幸・ポータルサービス担当部長、中島恵祐・ポータルサービス 第一ポータル推進担当課長

   ローカルニュースへの着目自体は、dメニューに限った話ではない。従来のポータルサイトでも、都道府県別のページを設け、各地域の話題を配信しているところがある。しかし中島氏は、「Yahoo!など既存のサイトでは、地域関連のカテゴリは深い階層にあり、トピックスにでも取り上げられない限りなかなか読まれることがなかった」と指摘する。

   これに対してdメニューでは、ニュース欄のトップに「地域ニュース」へのリンクを設置した。ページを開けば、ほぼワンクリックで自分の住む地域、あるいは出身地などの話題を知ることができる。また、他サイトでは配信を行っていない地方紙も多く参加しているのも特徴だ。

   しかしなぜ、「地域」なのか。その出発点となったのが、「パソコン向けとは違う、スマホ向けならではのニュースサイト」という発想だ。ある程度腰を落ち着けて利用することが多いパソコンと違い、スマホは移動中やちょっとした休憩時間など、1日に何度も立ち上げる。自然、ニュースサイトなども1日に複数回、繰り返し閲覧することになる。となれば、全国的な大ニュースよりも、より身近な、それこそ地元の生活に直結するような話題の方が、親和性が高いのでは。――そんな読みが、このサービスを始めるきっかけの1つだったという。しかもスマホなら、位置情報も利用できる。

「今までのニュースは、あまりにも『東京中心』でした。ところがこの地域ニュースでは、それこそ近所に住んでいる人だけが食いつくような話題がアクセス数でトップになることも。結果今までのネットニュースとは全然違ったランキングができてくる。そこが面白いと思ったし、それこそがまさに自分たちのやりたかったところですね」

今後、地域で活躍するタウン誌などと連携を図っていく

   このサービスでは、「地域の話題を、その地域に住む人に届ける」ことを第一目標としている。一方で立ち上げから約2か月、別の側面も見えてきたという。

   たとえばある地方紙が配信した、地元の医療機関に関する記事をトピックスに取り上げたところ、フェイスブックなどのSNS上で大きな反響につながった。まさに「局所」レベルのニュースが全国的な共感を呼んだことは、ドコモ側にはちょっとした驚きだったという。

「これに限らず、実は各地域発の『日本を元気にする』ような話題が、地元の新聞には結構掲載されているんですよね。こうした記事を、現地の人たちだけではなく全国の読者にも紹介できる、っていうのは意義があるのではないかと考えています」

   一方で、課題も浮かんできた。ある県で行った聞き取り調査では、「都道府県単位では『広すぎる』」との声が上がった。実際の行動範囲、商圏からすれば、それこそ天気予報の区分け並みのメッシュがほしい、というのだ。

   また現在、提携メディアは地方紙を中心に、地方放送局など地域に拠点をおいている地域メディアで35媒体、このほか「Jタウンネット」などの地域情報サイトからも提供を受けるが、これもまだまだ拡大の余地があるという。今後、地域で活躍するタウン誌なども含め、より多くの地方メディアと連携を図っていく考えだ。