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アバター同士の「同性愛排除」 任天堂の方針に海外ゲーマー猛反発

   任天堂の「トモダチコレクション(トモコレ)」といえば、シリーズ累計で約550万本を売り上げている大人気ゲームソフトだ。「Mii」と呼ばれる人間型のキャラクター(アバター)が架空の島のマンションで暮らす様子を観察、操作するというものだ。

   2014年6月6日には、ついに欧米版の「Tomodachi Life(トモダチライフ)」が発売されることが決まったのだが、「同性のアバター同士を恋愛させること」ができないらしい。海外の一部ゲーマーから不満の声が上がったが、任天堂はゲームの内容を変更しないとの方針を示している。

「同性同士でも恋愛できるようにしてほしい」

「Tomodachi Life」公式サイト
「Tomodachi Life」公式サイト

   米国のニュース専門放送局「CNN」のオンライン版に14年5月8日、「任天堂のゲームは同性カップルにNOと言う」という見出しの記事が掲載された。

   トモダチライフはキャラクター同士で結婚したり、子供を持つこともできるが、同性のキャラクターでは不可能で、ネット上では「同性同士でも恋愛できるようにしてほしい」というムーブメントが起こっていると書かれている。

   任天堂の大ファンを自称する、タイ・マリーニさんというアリゾナ州在住、23歳の同性愛者の男性は、トモダチライフの発売を大いに楽しみにしていた。しかし、男性のキャラクターは女性としか恋愛できない設定だと知り、楽しみが半減したという。

   マリーニさんは14年4月、「Mii」と「平等」という意味の「equality」を合わせた造語「#Miiquality」という企画をスタートした。Facebook、ツイッター、Tumblrで「#Miiquality」というハッシュタグを付けて投稿し、任天堂に自分たちの意思を伝えようというものだ。

   ツイッターでハッシュタグ検索してみると、「同性愛のないトモダチライフって、全然リアルな生活じゃないじゃん」「テレビゲームは全ての人のためのものであるべき!」などと投稿され、盛り上がっている。

「任天堂は同性愛嫌悪企業だ」

   ところが任天堂は、こうした運動には左右されないという宣言とも取れる声明を出したようだ。

「トモダチライフにおいて、任天堂はいかなる社会的な主張もするつもりはない」
「このゲームの人間関係のオプションは、現実世界のシミュレーションというよりは楽しい仮想空間を表現するものだ。このゲームが社会的な主張をするものではなく、ただこっけいで奇特なゲームということを理解してほしい」

などとメールで述べたと、CNNやロイターが報じている。

   この声明に対し、海外のネットユーザーからは「おいおい任天堂さんよ、同性愛の排除は立派な社会的主張だろうよ」「社会的主張しないってんなら何で同性愛を認めないの?政治的な理由なの?」「任天堂はどうやら最も同性愛嫌悪しているゲーム会社のようですね」など、強い反発の声が上がっている。

   日本のメディアもこの騒ぎを報じ、「時代の急激な変化に完全に遅れてしまっている事例…」「これ以上問題が大きくなる前に、方針撤回するのが一番な気がします」などと書き込まれている。

   ちなみに日本で13年4月に発売された「トモダチコレクション 新生活」では、発売当初男性キャラクター同士で子供ができるケースが報告されたが、翌月のアップデートで修正された。