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漫画家が「撮り鉄」に暴行受けたとツイッターに顔写真 相次ぐトラブル、迷惑行為を止める手段はないのか

   鉄道関連のオタクを「鉄オタ」と呼ぶが、その中の1ジャンルで車両を撮影することに熱中する「撮り鉄」によるトラブルがネットで多数報告されている。「撮り鉄」同士の罵声や喧嘩だけでなく、他人の敷地の木を勝手に伐採したりなど様々だ。

   「ゆりてつ」などの作品で知られるマンガ家の松山せいじさんも熱心な鉄道ファンだが、廃線となったJR江差線のお別れ式に参加した際に「撮り鉄」に「邪魔だ!」と怒鳴られ暴行を受けたとして、その男の姿を自身の「ツイッター」にアップし、警察に被害届を出したと報告した。

「邪魔だ!」と怒鳴りつけられて叩かれた

   松山さんは2014年5月11日に「ツイッター」で、

「湯ノ岱でこの人に暴力振るわれ、iPhoneを線路に落とされました」
「晒すのは良く無い事は分かりますが、江差線にいる皆様の安全の為にも、この黒い姿の男性にはご注意ください、突然暴力を振るわれました」

とつぶやき、カメラを構えファインダーを覗き込む中年男性と思われる写真をアップした。松山さんはJR江差線のお別れ式に参加していて、たまたま列車の出入り口に居たところ一人の男に「邪魔だ!」と怒鳴りつけられて叩かれたのだという。iPhoneは職員に拾ってもらったけれど傷が入ってしまった。車掌経由で警察に「暴行」の被害届を出し、刑事にありのままを語った、としている。このツイートは現在は削除されている。

   ネットでは松山さんの報告に対し、

「撮り鉄最悪だな」
「写真撮影専用スペースでもないのに邪魔だとか良く言えるな」
「こいつらみんな自己中ばかり中には平気で犯罪行為してる奴もいるし」

などといった「撮り鉄」を非難する意見が多く出ている。

   「撮り鉄」による迷惑行為やトラブルがネット上に頻繁に報告されている。14年3月14日の「あけぼの」の44年にわたる運行のラストランでは、埼玉の大宮駅に「撮り鉄」が詰めかけホームに人が溢れ、怒号が飛び交う様子が「ユーチューブ」にアップされ話題になった。こうした撮影時には撮影者同士のトラブルだけでなく、運転手の顔に向けフラッシュを焚いたり、綺麗な写真が撮れるように電車のライトを減光しろ、列車を移動させろ、などと強要するなど職員に迷惑をかけたりもする。

迷惑をかけた人物を特定し自覚を促す方法しかない?

   また、線路内に立ち入る「撮り鉄」もいて、13年11月にはそのせいでJR武蔵野線が停止することになった。また、木などが撮影の邪魔だとし、土地に侵入し勝手に伐採したりもしているようで、13年2月に長野県の「しなの鉄道」沿線に植えられた桜の木が何者かに伐採されたときは騒動になった。13年12月には電車内に「鉄専用車両」という張り紙を貼った脚立を持ち込み、7人掛けシートを占領、電車の窓から身を乗り出して撮影している写真がツイッターにアップされた。ネットではこの人物の特定が行われ「ツイッター」が大炎上した。

   なぜ「撮り鉄」はこういった迷惑行為やトラブルを繰り返すのか。「鉄オタ」に詳しい都内勤務の30代男性に話を聞いてみたところ、こういった迷惑行為をする「撮り鉄」は近年急に増えたというわけではなく以前から存在していた。それが「ツイッター」や「ユーチューブ」での報告が増えため顕在化したのだそうだ。「撮り鉄」の数は年々増えているが、新しく「撮り鉄」になった人たちは撮影時のマナーは悪くないのだそうだが、度々問題になる「撮り鉄」は年季の入っている人たちが多く、他人の迷惑などは考えずに自分勝手に行動する。こうした人たちを規制すればトラブルは減少するはずだが、なかなか難しい。漫画家の松山さんが「暴行」を働いた「撮り鉄」の顔写真をツイッターにアップしたことについて賛否両論あるが、

「このように人物を特定し、いかに人に迷惑をかけているかをわからせ、自覚させるくらいしか方法はないのかもしれません」

と話している。