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未発表曲に「自由になりなさい 楽になりなさい」 ヒットメーカーASKAの葛藤と心の闇

   人気デュオ「CHAGE and ASKA」のASKA(本名・宮崎重明)容疑者(56)が覚せい剤取締法違反(所持)の容疑で逮捕された一件が連日メディアを賑わせている。一方で、かつての活躍ぶりを知る人たちからは「成功者なのにどうして」と不思議がる声も上がっている。

   数多くのヒット曲を生み出し、90年代には社会現象ともいえるブームを巻き起こしたASKA容疑者は、誰もが認める「スター」だ。しかし、近年はヒット曲にも恵まれず、心に葛藤を抱えていたともみられている。

歌詞で自分の「弱み」をみせた?

   そうしたASKA容疑者の苦悩が伺える楽曲が2014年5月18日放送の「Mr.サンデー」や19日の「とくダネ!」(ともにフジテレビ系)など複数のテレビ番組で紹介された。「Be Free」と題した未発表曲で、ASKA容疑者が逮捕容疑と同時期の14年4月、自身の薬物疑惑報道で心配をかけたお返しとしてファンクラブ会報誌に同封したデモCDに録音されている。そこでは、

「真夜中にふと目が覚めてしまう 苦しいことが顔を覗かす 僕は知らないことばかりで 自由になりなさい 楽になりなさい 誰かに そんな風に言って貰いたい」

   といった、自身の心境を打ち明けたかのような内容が歌われていた。この部分はコアなファンにとっても驚きだったようで、デモCDを手にしたあるファンは、ブログに「長年チャゲアスのファンをやってきているけど、ASKAがここまで自分の弱みを見せるような歌詞を書いたことはなかった気がした」などと綴っていた。

   ASKA容疑者は「チャゲ&飛鳥」(後に「CHAGE and ASKA」)として1979年に「ひとり咲き」でデビューした。以来ヒットを連発し、とりわけ90年代前半には、ドラマ「101回目のプロポーズ」の主題歌になった「SAY YES」が280万枚以上を売り上げたほか、ドラマ「振り返れば奴がいる」の主題歌「YAH YAH YAH」も300万枚以上を記録するなど、国民的ポップスターとして人気を博した。ソロでも精力的に活動し、91年の「はじまりはいつも雨」はミリオンセラーになった。

テリー伊藤「時代の中で適応できないって部分はある」

   だが90年代後半から人気に陰りが見え始めた。2000年の韓国公演は失敗に終わり、新事務所に移籍した2001年以降も大きなヒットに恵まれなかった。2009年には「CHAGE and ASKA」の無期限活動休止を発表。その後にASKA容疑者が発表した「あなたが泣くことはない」の売上枚数は2万枚に満たなかったと伝えられている。

   2010年のライブでは「そのうちに曲が作れなくなり、本当にそうなんだよ。ギターで作ることができなくなっちゃったんだよね。途中から。これもう自分の限界かなって思った時期があった」と語るなど、公の場で悩みを口にすることも。かつての栄光とは程遠い厳しい現実に直面し、ASKA容疑者なりに、もがいていたのかもしれない。

   ASKA容疑者と何度か話したことがあるというテリー伊藤さんは18日放送の「サンデージャポン」(TBS系)の中で「時代の中で適応できないって部分はあるよね。ミュージシャンっていうのはいつもいつもヒットしていかない。(略)自分の中のピュアな部分だけでいくとなると対応できなくなる。そういう苦しみみたいなものはあったと思う」と語った。また、ASKA容疑者がソロ活動で「新しい音楽を見つけたい」と意欲をみせていたが、それが叶わなかったことにも触れた上で、「CHAGE and ASKA」としての再始動は「彼の中では、もしかしたら『敗北』だったのかもわかんない」と分析した。

   18日放送の「真相報道バンキシャ!」に出演した作家の島田雅彦さんも「トップランナーが薬物に手を出す事情を想像してみると、創作意欲の衰えとか色んな事情があったのかもしれないけれども」と、作品を生み出し続けることの大変さに触れるも、「一回手を出しちゃうとアウトですからね。『覚醒』なんかしないで寝ていればいいんじゃないのと思うんですけど」とコメントした。