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「おい『すき家』が店名隠して求人してるぞ!」 ネット上の憶測に、すき家「委託では当たり前」と困惑

   人手不足が深刻化しているゼンショーグループの牛丼チェーン「すき家」が、「店名を隠して求人をかけているのでは」という憶測がインターネット上で流れている。

   指摘されているのは、2014年5月15日に「タウンワーク」のサイトに掲載された求人情報ページだ。求人を行っているのはある人材派遣会社で、24時間営業の「大手レストランチェーン」のスタッフ募集だとうたっている。

「後ろめたいから名前を隠してる」

確かに求人ページに「すき家」の文字はないが…
確かに求人ページに「すき家」の文字はないが…

   ページには店名はもちろん、料理ジャンルも記されておらず、サイトの情報を見る限りでは応募者がどのようなレストランで働くことになるのかは分からない。だが、勤務地欄で紹介されている首都圏10店舗の住所を調べてみると、すべてが「すき家」店舗の住所と一致する。

   「すき家」といえば、かねてから店の仕事をひとりで回す「ワンオペ(ワンオペレーション)」と呼ばれる勤務体制が蔓延するなど、厳しい労働環境が指摘されていた。特に3月ごろからは、仕込みに手間のかかる鍋メニューが導入されたことも重なって人手不足が深刻化。閉店や営業時間の短縮に追い込まれる店舗が相次いだ。

   ネット上では一連の閉店劇を「鍋の乱」と呼ぶなど関心が高まっていただけに、この求人ページが見つかると「『すき家』の名前を出すと人が集まらないから、こうした形で募集しているのではないか」という憶測が相次いだ。

   「100人の大量募集」「勤務地は東京、神奈川、埼玉、千葉エリアを中心に800店舗」という大がかりな求人内容や、「接客から調理・レジなど、店舗全体のお仕事をお任せ」というワンオペレーションを示唆するような仕事内容も注目を集めた。中には「後ろめたいから名前を隠してるとか、そんなレベルじゃねーなコレ」「なぜ、そんな卑怯なことをするのか」などという厳しい意見まであった。

「派遣会社への委託は以前から行っている」

   これに対し、ゼンショーの広報担当者は意図的に名前を隠して求人しているという見方をきっぱり否定した。そもそも派遣会社による求人ページでは派遣先が書かれていることのほうが珍しい。顧客の営業情報の漏えいに関わるという理由からも伏せられているようだ。広報担当者もそのことを指摘し、首をかしげた。その上で「働き方が多様化しておりますので、すき家では各店舗でのアルバイト募集に加え、派遣会社に委託もしています。委託は以前から行っているものです」とコメントした。

   なお、求人ページの情報はあくまで人材派遣会社によるものであり、ページに書かれた「800店舗」は、すべてが「すき家」というわけではないという。また、派遣ではなく「紹介」扱いでの募集になっている点についても、広報担当者は「すき家の募集は、あくまで『派遣』として委託先にお願いしている」と話した。

   一部ネットニュースが取り上げるなどして大騒ぎとなったが、ネットでも今回の件に関しては「派遣会社が応募者以外に派遣元を明かさないのは当然の話」などと、すき家側に理解を示す声もみられた。