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自動運転車の開発を競う日米欧メーカー トヨタは実験施設を14年秋に米で建設

   トヨタ自動車は、米ゼネラル・モーターズ(GM)、米ミシガン大などと組んで2014年秋、米国ミシガン州に自動運転車の実験場を開設する方針だ。

   日米欧の自動車メーカーは、有力な「次世代車」である自動運転車の開発を競っている。新たに産学一体となった実験場を設けることで、実用化に向けた技術開発を加速したい考えだ。自動車各社が共同で実験施設を作るのは初めてで、世界の動きが本気モードになってきた。

4車線道路や信号、踏み切り、建物なども作る

   実験場は広さ約13万平方キロメートルで、ミシガン州南部のミシガン大の敷地内に設ける。4車線道路や信号、踏み切り、建物なども作り、実際に近い走行環境を再現させる。米国は自動運転の実用化に向けた動きが進んでいるが、自動車産業が集結するミシガン州は特に熱心な地域で、2016年に公道を使った本格的な実証実験に取り組む方針だ。自動運転車について日本勢はやや遅れ気味で、トヨタとしては実験場建設に参画することで、世界の趨勢を把握し規格作りなどに携わることも狙っているようだ。

   一口に自動運転と言ってもいろんなレベルがある。既に実用化されている、「危険を察知して機械が加減速を支援する」などの機能を搭載した「レベル1」から、機械側がすべての運転作業を担い、人間に判断要請を求めなくても走れる「レベル4」に分類されている。

自動運転車で世界の先頭を走っているのは米国

   こうした分類をしているのは、日本の国土交通省にあたる米国の役所だ。別途、米国の業界団体「SAE」は「レベル4」を2分した定義も設けている。米国は自動運転車で世界の先頭を走っており、こうした基準作りでも主導権を握っているのが実情だ。日本の国交省は、安倍政権の成長戦略に尻を叩かれ、ようやく腰をあげたところ。13年秋、安倍首相が東京都心部で公道実験する自動運転車に乗るニュースが流れたのを覚えている方もいるだろう。

   現状では、交通環境が安定している高速道路の走行を主に想定した「レベル2」に当たる車を、GMが2017年の発売を目指している。トヨタも「レベル2」相当の車について「2010年代半ばの実用化」を目標に開発を進めている。

   一歩進んで機械側が運転を主導し、より障害物の多い一般道の走行を想定した「レベル3」に相当する車ついて、日産自動車は2020年までの実用化を目指しているようだ。日産は電気自動車「リーフ」を元にした車両を開発。高度なレーダーなどを搭載することで自車の位置などを素早く把握し、危険を回避する技術に磨きをかけているとみられている。

グーグル、一から自社内で作った試作車を公開

   台風の目と目されるのが米グーグル。あらゆることに手を出して今や何をやっているのか分かりにくい会社だが、自動運転車にも熱を入れており、「レベル3」に当たる車を開発中だ。従来はトヨタの車を改造してきたが、14年5月に公開した試作車は一からグーグル内で作ったといい、2020年ごろの実用化を目指す。電気自動車の米テスラモーターズのように、従来の自動車メーカー以外からの「自動車量産」への参入も珍しくないのが米国だ。

   自動運転というと危なっかしい印象もあるが、鉄道ではもはや珍しくない。安全確保が大前提だが、国交省を含めた日本勢は「ガラケーとスマホ」の悪夢を繰り返さないよう、心してかかる必要がある。