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小保方氏「勘取り戻す」のに1、2か月 STAP200回以上成功したのにそんなに時間かかる?

   STAP細胞は実在するのか。理化学研究所は、研究ユニットリーダーを務めた小保方晴子氏に、立会人の下で検証実験に参加させることとした。

   実験室を用意し、環境は整った。一方、小保方氏自身は体調が万全でなく、「実験技術上の勘を取り戻す作業」をしているという。「STAP細胞は200回以上作製に成功した」と豪語していたが、今はその段階に達していないようだ。

監視カメラ2台設置で24時間モニタリングされる

小保方氏が検証実験を行う研究室(写真提供:理研)
小保方氏が検証実験を行う研究室(写真提供:理研)

   理研では2014年4月から丹羽仁史氏のチームがSTAP細胞の検証実験に取り組んでいるが、いまだに再現には至っていない。そこで小保方氏の参加を決め、7月1日に実験の進め方を発表した。

   まず、丹羽チームとは別々に実験を行う。体調不調である点を考慮して、立会人の下で「準備的に検証計画に参加させる」という。その次の段階で、やはり立会人がついて実際の検証実験に入っていく。11月までに準備段階にとどまっていた場合や、STAP細胞作製上何の成果も出なかった場合は「強制終了」となる。

   7月15日には、小保方氏用の実験室が理研ウェブサイト上で公開された。以前話題となったムーミンのイラストやカラフルな壁紙はない。代わりに天井に「監視用」のカメラが2台設置され、24時間モニタリングされる。入退室はIDカードで管理され、細胞培養器は施錠可能だ。実験時には立会人が室内に入る。

   メディアは7月2日、小保方氏がタクシーで理研に出勤する様子を伝えた。既に検証実験はスタートしているとみられるが、7月16日付の読売新聞朝刊は小保方氏の近況について、理研の発表として「体調の良い時に出勤し、別の部屋で実験技術上の勘を取り戻す作業に取り組んでいる」と報じた。

   小保方氏は4月9日の会見で、STAP細胞の作製は200回以上成功していると明言した。「STAP細胞はあります」と宣言し、「それをどう信じればよいのか」と問われて、「たくさんのコツや、ある種のレシピのようなものを発表できればと考えている」と述べていた。本人は作製に自信があり、そのための「レシピ」がそろっているはず。何のために「勘を取り戻す作業」を行うのだろうか。

集中力問われる実験のため「リハビリ期間」必要

   理研広報室に聞くと、「勘を取り戻す作業」が必要な理由のひとつとして、小保方氏が論文不正問題以降入院し、今も体調が万全ではないこと、また実験から離れてブランクが生じていることを挙げた。

   同時に、研究自体が相当細かな作業を伴うという。細胞を扱ううえで、例えば試験管を用いる際も手先の微妙な加減が求められる。手の動きひとつひとつに非常に神経を使うそうだ。研究者でも、しばらく実験から遠ざかっていれば器具を使う訓練が必要だと説明する。ただでさえ集中力が問われる細胞実験だが、小保方氏は今も百パーセント健康ではないだけに、ある種の「リハビリ期間」が必要なのだろう。

   とは言え、小保方氏に与えられた時間はたっぷりあるわけではない。検証実験は2014年11月をめどに結果が公表される。これに対して、小保方氏が本格的に実験をスタートするにあと1、2か月かかると見られている。一刻も早く「勘」を取り戻さないと、時計の針ばかりが進んでいくことになってしまう。